ハッピーに生きるための理想的な交友関係とは?
先日娘と、学校でのことを話していて、私が「今日もベストフレンドの◯◯と遊んだの?」と聞くと
「もう◯◯とはベストフレンドじゃないんだ」という返事が返ってきた。
私はびっくりして「え〜そうなの?!喧嘩でもしたの?」と聞き返す。すると娘は「喧嘩はしてないよ。普通に遊ぶし。でももう前みたいに仲良くないだけ。」とだけ言って、違う話題に移って行った。
友達との喧嘩や揉め事は、ソーシャルスキルを育む上で必要で、私はどちらかというと娘には自分たちで解決する道を見つけ出してほしいと思うから、あまり助言などはしないようにしています。喧嘩もしていない、特に何かあったわけでもない、でも「今まで」のような仲の良さはもうない。若干小学生でも色々な人間関係があるのだな、とその時私は思っていました。
「ベストフレンド」の定義

小さいうちは、ずっと一緒に遊んでいる子や、とにかく仲良しの子同士が「ベストフレンド」といわれ、なんでも一緒にやったり、お揃いの小物を身につけたり、好きなお菓子を一緒に食べたり、となんとも可愛らしい感じですよね。少し成長して思春期、社会人と成長していくと、いわゆる「親友」という存在は、いる人もいない人も様々になり、広がる交友関係の中で何を持って「親友」と定義づけるのかも、人それぞれ異なっていきます。
親友の関係性って、”楽しい時も辛い時も、悲しい時も苦しい時も、どんな時でも一緒にいたい、何から何まで全て包み隠さず話せる、ずっと一緒にいてもいやにならない、お互いのことを深く理解し、合い知らないことはない” こんなふうに、理想論のように描かれがちかもしれません。
でも実際はどうでしょう?たとえば「一緒に楽しいことをする人」と「人生論を深く語り合う人」が必ずしも同一人物ではない、ということはありませんか?
何かあったときにすぐに電話やメールを送る友達と、キャリアや将来の相談をする友達も、違うかもしれません。
親友、という存在は必ずしも1人ではないし、複数いてもそれぞれに「役割」がある。実はこれ、長く研究されてきた人間関係構築の結果から出された4つの定義に基づいていて、これらを上手に使い分ける人の方が「全体的に幸せ」と言われているんです。今日はこの4種類の人間関係を紹介していきますね。
1. Associates — 利害やニーズでつながる人
これは、お互いのニーズが一致することで成り立つ関係性を示します。「遠くの親戚より、近くの他人」という表現があるように、たとえば同世代の子供を育てる家族が近所にいれば、お互いに子どもの送迎を助け合ったり、順番に面倒を見てその間に出かけたり、という利害関係ができます。子供が風邪をひいて仕事を休まなきゃいけなくなった時なども、助け合うことができる中です。また、仕事上の取引先などもその一つで、普段からお世話になっている取引先などは、自分や自分の会社の業績にも貢献してくれている人。つまりビジネスニーズを埋めてくれている人なので、良好な関係性を保ちたい、と思えるのです。
「お互い様な関係」が成り立つのは、お互いに「助けたい」という思いやりや、お返しを期待しない、求めない関係性があるからです。このような人間関係を持っている人は日々の生活の中で助け合う術を知っています。
2. Allies — 共通の目標でつながる人
これは、同じ目的に向かって協力することで生まれる関係性を示します。個人的に、日本はこの部類で繋がる人が多い国民性だと思っていて、それは幼少期から学芸会や組体操、音楽コンクールやスポーツの大会など、チームとして一丸とならないと達成できない目標に向かう機会が圧倒的に多いのです。私も日本で学生だった頃は、吹奏楽部に所属し、毎年コンクールに向けて猛練習し、朝から夜まで部活仲間と一緒に過ごしました。合宿などでは食事や寝床も共にし、24時間一緒に過ごすことで、お互いの生活リズムを尊重し合いながらも、「コンクール入賞」という目標に向かって共に前進しました。
成人してからも、現在のように環境問題に携わるようになると、同じように「地球環境を守りたい、未来を子供達に繋ぎたい」という志を持つコミュニティとのつながりが拡大し、「ゼロウェイストファミリー」と呼ぶような同士に出会うことができ、莫大な課題ながらも、互いを鼓舞しあい、それぞれの形で仕事やライフワークとして向き合っています。
以前私が参加した気候マーチも、同じ目標で繋がる「Allies」が集まった形だと思います。
3. Pals — 楽しみや興味でつながる人

これは、一緒にいること自体が楽しい関係性を示します。「親友」という表現で言うと一番わかりやすい関係性かもしれません。なんの予定もない週末を、なんとなく一緒に過ごし、カフェに行ったり、ショッピングをしたり、ゲームをしたり、他愛もない会話を楽しめる関係性です。くだらないことでずっと笑えたり、一緒に旅行に行ったり、「何か楽しいことしたいな」と思った時に思う浮かぶ顔があれば、その人があなたの Pals になります。
この関係性で近年かなり見受けられるのが「推し活」です。ご存知の通りこれは造語で、同じような表現をする言葉は少なくとも英語ではないんですよね。「推し」が同じ人同士で繋がり、一緒に推し活に励む。このような人間関係もこのPalsになります。
4. Companions — 思いやりや価値観でつながる人
これは、相手を大切に思い、深い信頼とケアを共有する関係性です。人間関係の中で、最も深いところで繋がる関係性なのかな、と感じています。
人生の困難な時期にも支え合うことができる関係性を築ける人。これってどこか、結婚するときにいう「誓いの言葉」に似ているんです。
『良いときも悪いときも、豊かなときも貧しいときも、病めるときも健やかなるときも、あなたを愛し、大切にする』
"for better, for worse, for richer, for poorer, in sickness and in health, to love and to cherish"
結婚という名目で繋がれていなくても、この関係性はいわば「人生を共にするパートナー」のような存在の人を示すのだと思います。相手のことをこのように思い、自分のことも同じように思ってもらう関係性で、自分のコアの部分を支えてくレル。人間のように決して1人では生きていけない生き物には、必要不可欠な関係性かもしれません。
1人4役を求めない
さて、4つの人間関係を説明しましたが、大切なのは1人の人にこの4つ全てを求めない、ということだそうです。もちろん、1と2両方を担う人、3と4だけ当てはまる人、など様々なのですが、「親友だから」という定義だけに縛られて「全部話さなくてはいけない」もしくは「100%さらけ出した自分でいないといけない」ということはないのです。今の自分の人間関係・交友関係の中で「仕事で困った時にはあの人」、「週末のイベントに誘うのはこの人」など、それぞれとの関係性の理解を深めることで、4つ別々のフレームワークの中で、さらに繋がりを深めることができる、ということです。
大切なのは、相手との間にどんな関係をつくるか、そして、そのためにどんな行動をするかということです。
親友を作るのに必要な時間は200時間?!

今回のブログは、アメリカの有名な組織心理学者 Adam Grant が書いた最新の著書「Vibe」から得た情報を元に書かせてもらってるのですが、中でも面白かったのが人間関係を構築するために必要な時間について。
Adamは友人関係が深まる時間の目安として、以下のように示しています。
- 知り合いから、気軽な友人になるまで 約50時間
- 親しい親友になるまで 100時間〜200時間以上
- 大人が新しい友人を作る場合 200時間
大人になってから友達を作ることが難しく感じるのは、この時間も関係しているかもしれませんよね。でも、200時間一緒に過ごしたからといって、必ずしも良い友人関係が築けるということではありません。一緒に過ごすときの時間の使い方や、会話の内容、どんな時間を過ごすかにより変化し、時には良い関係性を作り上げることに長い時間を要さないこともあります。ただ、友情は偶然見つかるものというより、意識的に時間と経験を共有して育てていくもの、というのは確かだと思います。
人と繋がる、ということ
冒頭で書いた、娘と娘の親友との関係性の変化についても、私は後日この本に出会って、彼女がそれぞれの友達と異なる関係性を築いているのだ、ということに気づきました。みんなと同じように仲良くするのではなく、それぞれ別の関係性があって、友人関係が成り立っていく。本来私たちは、忖度なしでこんなふうに人と向き合っていくべきなんですよね。
世の中のデジタル化が激しく、面と向かって人と話す機会がぐんと減ってしまっている現代において、友達と呼べる人がたくさんいるはずなのに、どこか孤独を感じている。常に自分は1人だと思っている、そんな人が今すごく増えています。
「人離れ」が激しい今だからこそ、私たちは繋がりをもっと深め、手を差し出し合っていかなければいけないですよね。日々の生活、仕事や将来の不安、さらに大きな人生の課題、これからの地球環境のこと。これらにしっかりと向き合って、一度しかない人生を全うするためにも、周りの人たちとの関係性は全てに影響していきます。私たち人間にとって、最終的には人が全て。意見の違いや衝突も尊重し、時に距離を置いて関係を育てる。人とのつながりは十分に意識を向けることで、深く、そして自由に設計していくことができます。
参考著書:"VIBE" The Science of Strong Connection in a Lonely World by Adam Grant