南フランスのサスティナブルな暮らし|地産地消のリアルを写真付きで紹介!

10日間の南フランスを通して感じたサスティナブルな暮らしをお伝えします。
私がこの地域を訪れた目的は、地中海食をベースにした食文化、自然に近い生活リズム、人とのつながりを大切にする風土など、健康で幸福な地域と位置付けられている日常を経験したかったからです。
■“サステナブル”は意識しなくても「ふつうにそこにある」暮らし

私は、南仏ニースを拠点に町や村を回りながら、地元の人々の生活、マルシェ文化、そしてサスティナブルな日常に触れる旅をし感じたのは、ここでは自然で当たり前に「サスティナブル」が行われているということ。
- 毎朝開かれるマルシェ
- スーパーでもマルシェでもでバラ売り、量り売りが基本
- 生産者さんと日常会話をしながら購入する生活
■ “サステナブルに暮らす”という言葉が、必要ない街

各町では朝からお昼までマルシェが行われ、野菜、果物、オリーブ、サラミ、チーズ、花、石けんなどが販売されてそのほとんどがビニールなし。バラ売り、量り売りが基本で、買い物袋を持ってくるのは「ルール」ではなく“習慣”になっているようでした。また多くの出店者が自分たちの畑や農園で採れたものを直接持ってきているため、
「どこの誰が育てた食べ物か」が自然とわかり、美味しい食べ方を教えてくれたり、バラをおまけしてくれるなど幸せなサプライズも。
一般的なスーパーでも乾物、ナッツ、ドライフルーツ、穀物、洗剤など量り売りの販売も多く見られ、サスティナブルやエシカル、という特別視されるようなスタイルが、ここでは本当に『日常』でした。
実際、無人のレジなどがない為、ラズベリー1つ買うにもかなり並び、スーパーにこんなに並んだのは久しぶりという感覚。昔ながらの丁寧な買い物スタイルと、便利さを求める現代人の葛藤もありました。
■ 食はどうだった?地産地消・オーガニックのリアル

南フランスの食は、とにかく地元産・旬・素材第一主義。これは“ヘルシー”とか“意識高い系”の話ではなく、単純にそのほうが新鮮で美味しいから。マルシェで売ってるのは“この土地の野菜”。空輸され、長い時間かけてたどり着いた世界の野菜ではありません。
ちなみにニースでは週5日、市内各所でローカルマルシェが開かれており、そのうち有機農法認証の農家ブースが約30〜40%を占めていました。
私が食べた地元のレストランでの食事は、驚くほど食材そのまま!これは意見が賛否あるでしょう。そこにオリーブオイル、塩、コショウ、自家製のアイオリソース(南フランス発祥)をいくらでもかけていいよスタイルでいただきます。本当にシンプルな食事ですが私にはあっていました。シンプルな調理で食材そのまま、良質な調味料でいただく、これほど贅沢な食事はありません。
■ Bonjour からはじまる、小さなつながり

そしてもう一つ、私が感動したのは「人の存在が近い」ということ。
カフェで顔を合わせたら「Bonjour!」が自然に返ってくるし、マルシェでは生産者がレシピを教えてくれる。旅中、“孤立”を全く感じませんでした。これまで20カ国以上旅してきましたが、毎日こんなに誰かと会話したのは今回がはじめてだったように思います。
マルシェで言えば、数日通っていると顔も覚えてくれるので、商品を買っているはずなのに、感覚としては“人に会いに行っている”感覚でした。
私がヘルスコーチとして伝えている中に“人とのつながりの重要性”があります。それが、この地では特別なことではなく、ごく自然に日常の中に存在していました。
■ 科学的にも証明されている「つながり=幸せ」の真実

私が教えているホリスティックでは、「健康=栄養+運動」だけではなく、“人間関係やつながり”が、心身の健康の土台と考えています。
この南フランスの旅で私が一番感じたのは、人とつながって生きることの“あたたかさ”と“安心感”でした。そしてそれは、感覚だけの話ではなく、科学的にも証明されています。
ハーバード大学が約85年かけて行ってきた『ハーバード成人発達研究』では、“人は何によって幸福で健康な人生を送れるのか”という問いに対し、“人間関係の質が高い人ほど、長く健康に、幸せに生きる傾向がある。孤独や断絶は、喫煙やアルコールよりも健康に悪影響を与える。”と結論づけられています。
南フランスでの暮らしは、お互いに声を気軽にかけ合う、日常の会話をする、笑う、微笑み合うことが日常でした。そんな毎日だったからか、生活している、よりも『生きている』感覚を感じていました。
科学が証明した“つながりの力”を、私は南フランスの朝の光と人々の笑顔から教えてもらいました。「人とつながることは、人生を豊かにする最も根本的な“栄養”です。」
■ 私自身が“つながり”を取り戻していた

マルシェにはその日採れた旬の野菜しか並ばない。魚は「今日は海が荒れてたからね」と言われれば売ってない。季節と自然に合わせて暮らすことが、“無理せず当たり前”に行われていて、これもまた、ホリスティックの原点である「地球と共に生きる」という感覚を感じていました。
名前も知らないのに、笑顔と挨拶だけで生まれる、あたたかな信頼が「つながり」を感じさせ、どれほど体と心にやさしく作用するかを、肌で感じた旅でした。
テクノロジーの発達と引き換えに、私たちがどこかに置いてきた“人、社会、世界との自然なつながり”。それが、南フランスでは当たり前のように、息づいていて安心し、気付かされた旅となりました。