秋は本能で太る季節?
食欲の秘密と太らないための新習慣
秋になると、つい食欲が増してしまう、そんな経験がある方も多いのでは?これは単なる気のせいではありません。新米や秋の果物、きのこ、魚など、旬の食材が豊富に出回る季節だからこそ、私たちは自然と「食べたい」という気持ちが強くなるのです。
しかし、実は秋の食欲には単に“美味しいから”というだけでなく、科学的な理由も隠されています。実際に、秋は食事量やカロリー摂取が増えることが研究で明らかになっており、「食欲の秋」「秋太り」と呼ばれる背景には、人間の体に備わった自然なリズムがあるのです。
秋は太りやすい季節?科学が示す食欲の秘密

夏から秋になると徐々に日照時間が短くなり、体は自然に“冬に備えるモード”へと切り替わっていきます。その影響で現れるのが、『季節性情動障害(SAD)』と呼ばれる症状です。これは光の量が減る秋からはじまりやすくなり、強い眠気や倦怠感、食欲の増加が特徴です。
研究によると、私たちの食欲やカロリー摂取には明確な季節リズムがあり、秋には食べる量やスピード、空腹感が自然に高まるといいます。無性に食べたくなるから、理由はなく食べる、ということはありません。何事にも意味があり、その一つが季節性のものであるかもしれないのです。
実際、春と秋で1日あたりの摂取カロリーを比較すると1日あたり約222kカロリー、多く摂取しているというデータも報告されています。
これは動物の冬眠行動とよく似ています。クマやリスが冬に備えて脂肪をため込むように、人間にも“冬眠遺伝子”に似た仕組みがあるとされており、秋は冬に向けての準備期間でエネルギーを貯蓄しやすい時期なのです。つまり「秋に食べたい欲求がある」というのは、私たちの体にプログラムされた本能的な反応といえます。
【ホリスティックな視点】旬を取り入れる意味
ホリスティックな考え方では、体と心は自然のリズムとつながっていると捉えます。秋から冬にかけては「蓄える季節」。気温が下がり日照時間が短くなることで、体は自然にエネルギーを欲し、脂肪や栄養をため込みやすくなります。これは人間に備わった本能であり、“不自然に太る”のではなく“自然に備える”行動といえることを知っておきましょう。
ここで大切なのが毎日の食卓で「旬を取り入れる」こと。旬の食材は、その時期に必要な栄養をもっとも効率的に与えてくれます。
例えば
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根菜類(大根・ごぼう・れんこんなど):体を内側から温め、冷えやすい季節の代謝を助ける
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きのこ類:食物繊維が豊富で腸内環境を整え、免疫力アップに役立つ
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秋の果物(梨・ぶどう・柿など):夏に失った水分やビタミンを補い、体調をスムーズに秋仕様にシフトさせる

旬を食べることは、新鮮で密度の高い栄養素を摂取することになり「食べすぎなくても満足感を得られる」食べ方ができるようになる第一歩です。季節に沿った食事をしていると、余分な食材や、お菓子などのパッケージフードを食べる頻度も減り、体と地球に良い、自然なゼロウェイストにつながっていくのです。
さらに精神面でも、旬の食材を取り入れることで「今この季節を生きている」という実感が生まれます。食卓に季節の彩りをのせることは、心を整え、生活に小さな豊かさを運んでくれる“心の栄養”にもなります。
【実践、食事編①】 根菜類は“ヘルシーでも食べすぎ注意”
秋になると、さつまいもやかぼちゃ、れんこんなどの根菜が食卓に並ぶ機会が増えます。特にさつまいもを食べる方が大きく、ダイエットのおやつと認識もあるようですが、さつまいもはヘルシーなイメージがある一方で、糖質も多く含まれていることを忘れてはいけません。
食べすぎれば当然カロリーオーバーにつながり、秋太りの原因に。目安としては、おやつ代わりに食べるなら1日100g(小さめのさつまいも半分程度)がおすすめです。
食べるときは、たとえおやつであってもしっかり椅子に座り、水を飲みながら、味わうように食べることを基本にしてください。さらに、さつまいもはご飯やパン、パスタと同じ「炭水化物」にも分類されます。そのため、例えば夕食に焼き芋を100g食べるなら、いつものご飯は半分にする、というように調整を行なってください。
どんなに旬で良い食材も多すぎると体の負担になります。甘みが強い根菜をつい食べすぎる方が多いので、食事にもっと苦味、タンパク質、脂質を忘れずに加えて健康的な食事を続けていきましょう。
【実践、ライフスタイル編②】“動きやすい気候”を味方にする

一年の中でもっとも運動を始めやすいと言われるのは、秋!暑さが落ち着いてきたら、外を歩くだけでも心地よく、体を動かすこと自体が楽しみに変わ裏やすくなります。屋外でも室内でも、無理なハードトレーニングでなくても、日常に「歩く」「伸ばす」といったシンプルな動きを加えるだけで、自然に痩せやすい体づくりにつながります。
そして十分な睡眠が体づくりの大きな鍵です。7〜8時間しっかり眠ることで、食欲を安定させるホルモンの働きが整い、代謝も回復します。特に夜の12時前までに布団に入って眠る習慣を身につけましょう。秋の澄んだ空気の中で運動を楽しみ、夜はぐっすり休む。このリズムこそが、秋太りを防ぎ、痩せやすい体をつくる秘訣です。
【まとめ】秋太りを防ぐ3つの一歩
「食欲の秋」は本能的に食べたくなる季節ですが、それを知ったうえで工夫をすれば、ヘルシーに秋を楽しむことができます。大切なのは「我慢」ではなく、自然のリズムに寄り添うこと。
今日から取り入れられる一歩は、次の3つ!
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旬の食材を楽しむ:その季節に体が必要とする栄養を無駄なく取り入れながら量には注意
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12時までに就寝:食欲を安定させるホルモンの働きが整い、心と体が回復
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秋の運動習慣を始める:朝の光を浴びて散歩する、ヨガや軽い運動を続けることで代謝が整い、痩せやすい体に

この3つを意識するだけで、秋の食欲をコントロールしながら、体も心もすっきり整っていきます。旬を楽しみ、無駄を減らし、心地よく体を動かす。そんな暮らしが、秋を一番豊かに過ごす方法です。