おいしいコーヒーに迫る危機

皆さんはコーヒーを飲む人ですか?

日本では、駅やコンビニ、都会では街中にカフェが溢れ、コーヒー文化もすっかり当たり前となりました。

世界中のコーヒー需要はかなりのスピードで増えていて、2050年には需要が現在の3倍にもなると予測されています。しかし、1kgのコーヒーを生産するのに必要とされるCO2は29kg。環境への負荷は一目同然です。

そんな中、今世界各地のコーヒー農園には深刻な危機が迫ります。

コーヒーの産地

コーヒーの栽培は非常に難しいと言われています。寒さに弱く、日光を好むものの、過剰な日光は逆にダメージになってします。また、乾燥にも弱く、よく肥えた水はけのよい土壌でないと栽培ができません。

こうした気温や日射量など絶妙な条件をクリアし、生産に適しているとされるのが「コーヒーベルト」と呼ばれる一帯で、赤道を挟んで北緯25度、南緯25度の間に位置しています。

世界で消費されるコーヒーのほとんどが、この限られた地域で栽培されていて、世界の流通量の6割を占めるのは、アラビカ種と呼ばれる品種です。
多くの国で親しまれ生活の一部となっているコーヒーですが、実は国際研究機関「ワールド・コーヒー・リサーチ」によると、気候変動によってアラビカ種の栽培に適した土地が、このままでは2050年には半減する可能性が高い、と警鐘を鳴らしています。

コーヒーの2050年問題

気候変動によるコーヒー産業への影響は、世界最大のコーヒー生産量を誇るブラジルで起きているのも例外ではありません。

日本の大手乳業メーカー森永乳業が18年にわたってこの農園の豆を使い、コーヒー飲料を販売している総面積約6700ヘクタールの広大な農地を誇る、ダテーラ農園。

2年前は記録的な寒波による霜で木が枯れてしまいました。高温や厳しい寒さ、深刻な干ばつなど、極端な現象が頻繁に起きるようになり、コーヒーの栽培が安定しなくなっています。気温の上昇による乾燥で、害虫による被害も増加。害虫が葉を食べて傷を残すと、実の生育が悪くなってしまいます。

この農園では、エチオピアやコスタリカなど、世界各地から集めたおよそ160種類のコーヒーの木が栽培されていて、高温や病気に強く、収穫量や風味も優れた品種を見つけようとしていますが、何もしなければこれらの気象現象はますます極端化していきます。

農園で品質管理を担当する人は、「気候変動や害虫、病気などに耐えられるコーヒーを見いださなければならない。いまはコーヒー栽培に適している地域でも、気温の上昇で新しい病気や害虫が出現し、将来は生産できなくなるかもしれない」と懸念しています。

コーヒー豆の代替え

近年のコーヒー2050年問題を受け、さまざまな企業が「代替え品」の開発に取り組んでいて、日本でも少しずつコーヒー豆を使わない代替えコーヒーを飲める場所が増えつつあります。

  • ATOMO - スターバックス発祥の地でもあるアメリカ・シアトルにあるスタートアップ企業が開発したもので、原料に農業廃棄物を使用し、緑茶から抽出したカフェインで味や香り付けを忠実に再現するなどしています。通常は破棄されてしまうデーツの種子などを使用していて、日本では東京都内にある「ash zerowaste cafe & bar」で提供されています
  • Prefer - シンガポール発祥の「ビーン・フリー」なコーヒーで、原料には通常は破棄される大豆パルプ(豆乳製造後にできる)やビール工場の余剰大麦などを使用。独自の発酵と焙煎技術で、エスプレッソやブラックコーヒー、カフェラテなど、自分の好きなスタイルのコーヒーとして飲めるように作られていいます。

こういったコーヒーの代替え豆は、新たに原料を生産や栽培する必要がなく、もともとあるもので製造できるという点でも非常にサスティナブルであり、今後さらに増えていく傾向がありそうですね。

まとめ

地球温暖化が進み、日々の生活の中に当たり前に存在する食材や原料でさえも、簡単に手に入らなくなる時がやってきます。今ある資源の貴重さを噛み締め、少しでも負荷の少ないもの、少しでも持続可能な方法で生産されたものを選んでいく必要があります。

あなたが次に飲む1杯のコーヒーに、どんな未来を期待しますか?

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