【アメリカ ヴィーガン給食】驚きの研究結果とは?!

つい最近、こんなヘッドラインを目にしました。

「アメリカ学校給食プログラムで、プラントベース主菜の方が無駄につながると判明」。 記事を読んでみると、アメリカ全国の小学6年生から中学2年生のプラントベース給食4138食が研究の対象となり、結論から言うと、生徒たちはその主菜のすべて又は一部を破棄しているという結果が出た。

食品の斬新な組み合わせや野菜や豆類の可視性が主な要因とされています。ヴィーガンやプラントベースの食材を給食に導入することによってサステナビリティの意識を高めていても、結局捨てられてしまっていれば、その努力さえも無駄になってしまいます。そんな実態だったら、逆にプラントベースにこだわらず、子供たちが食べ慣れている主菜を提供し、フードレスを削減する方がサステナブルなのではないか、と思ってしまいますが、ここも難しいところですね。

驚き!アメリカの子供たちの食文化

   

米国NY州の公立学校では毎週金曜日はヴィーガン給食の日にするという取り組みをしています。つい最近の調査結果によると、米国1歳から5歳の子供の間で野菜を毎日食べない子供が国の約半数(49.7%)を占めています。その代わりに7-8割の子供たちが、一日に推奨される量の上限を超える砂糖を摂取しているというデータもあります。

そんな野菜に苦手意識のある子供達の前に「野菜丸見え」の給食を出せば、多くを食べずに残してしまう理由もわからなくはありません。最近では1960年代の5%に比べ、アメリカの子供の肥満率は20%を超えています。

じゃあ日本の子供たちはどうなっているの?

元々大昔から魚料理を主食としてきた日本は、世界に比べて「ヴィーガン」の流行を取り入れるのに時間がかかりました。私が大学生活を送ったバンクーバー・カナダでは、20年以上前からヴィーガンレストランが街中にあり、当時からヴィーガンの友達もたくさんいました。

当時はそのような友達が日本に来日しても、魚介類の出汁ベースの食事も多いため、お豆腐しか食べられない!と言うほどヴィーガンの食事を摂ることが難しいものでした。

日本で「ヴィーガン」や「プラントベース」などの言葉が浸透してきたのも、おそらくこの5-6年。今では国の人口の1.4%ほどが「ヴィーガン」と言われていますが、英国の5%やドイツの14%などに比べると、まだまだ認識も低いと言えるでしょう。NY州のように毎週ヴィーガン給食を出すに至るまではまだハードルが高いですが、実はヴィーガン給食を提供している私立小学校が、現在日本に1校だけあります。

浅川小学校のヴィーガン給食!

   

八王子の浅川小学校では、2021年から月1回ヴィーガン給食を提供しています。校長先生の観点では「食べ物に対しても色々な価値観がある。多様性を知ってほしい、、、ダイバーシティーの世の中を生きていく彼らに、そのようなことをわかってもらいたい」という理由で導入を進めたようです。

例えば、松風焼きを大豆ミートで出してみたり、牛乳の代わりにリンゴジュースを出したりしています。他にもひじきの炊き込みご飯、豆の揚げ煮、キノコ汁など、栄養バランスも非常に良いものが多いようです。ただ、もちろんこういった給食に対して思わしくない意見もあるようです。

ヴィーガン食は成長期の子供が必要とするカルシウム、タンパク質、必須脂肪酸、ビタミンDなどが不足しがちなこと、それに対して炭水化物の摂取が大幅に多いこなどが指摘されています。浅川小学校ではもともと、アレルギーを持つ子供たちも一緒に食べられる「エヴリワンミール」という低アレルゲン食を出していたようですが、それを更に進化させたものがこのヴィーガン給食のようです。

ただ、ヴィーガン=低アレルゲンでもなく、ヴィーガン=より健康に良いという根拠もまだ不足している中、このような取り組みはあくまでも「栄養的観点」というよりは「食に対する意識を高める」食育の一部として考えた方がいいと思えます。

先進国として取り組むべき本当の「食」課題

浅川小学校では、子供たちが実際にこのようなヴィーガン給食を破棄しているのかという調査データはありませんでしたが、日本でも給食自体から出る食品ロスはかなり多く、生徒一人1年で17キロ相当の無駄が出ています。主な理由が食べ残しで、理由としては米国と同じく「嫌いなものがあるから残してしまう」ということ。そしてその「嫌い」なものとして挙げられた食材の上位は野菜類や魚介類でした。

子供に必要な量の野菜を食べさせようとすることは、国を問わずチャレンジであるのかもしれません。アメリカの肥満率は高いですが、我が国日本でも、食の欧米化とともに子供の栄養の偏り、糖分や化学調味料などの添加物過度摂取、肥満や健康を取り巻く問題がどんどん深刻化しています。

昨今はさまざまな食の流行がありますが、特定の何か一つに偏るのではなく、多くを知り、意識を高めることが大切だと思います。

食は、私たち社会の最も大事な要素でもあります。環境が良くなれば、その結果食べ物も良くなります。食べ物が良くなれば、結果人間も健康になります。そして人間が良くなれば社会も良くなります。ヴィーガンやオーガニックなどにこだわり健康意識を高めることも素晴らしいですが、その選択肢がある状況に置かれているということが当たり前ではないことに、まず気付かなければいけません。

意識を高める目的で貴重な食物が破棄されているという現状があるのであれば、まずは子供たちがそれぞれ、自分の「残さず食べ切れる分を」把握し、そこから食とのポジティブな関係性を築き上げていく方が、結果として健康的であり一番サスティナブルな取り組みかもしれません!

1件のコメント

  • 韓国では数年前から全国の公立小中学校でオーガニック食材の給食が導入されたという。
    ー野菜嫌いの子どもたちは、おそらく無農薬や自然栽培で育てられた生命力あふれるほんとうの素材の味そのものを知らずに、栽培的問題を抱えた農産物の風味を無邪気にも毛嫌いするのだと私は感じてしまう。味覚の成長段階にあってありとあらゆる感覚が敏感であるゆえの、非常に本能的な反応なのではないだろうか。

    プラントベースやヴィーガンへの馴染みやすさを念頭に入れて、まずは野菜そのものの美味しさを知ることから始めるべきではと思う。
    近年、日本各地でそれぞれ独自の工夫を凝らして地産地消の取り組みもじわじわと浸透してきた。
    あとはいかに消費者の声を大手のブランド的会社が組み上げて集約的力を商品に反映させていくかだと思う。
    それには、私たちひとりひとりが日々の生活の中で続けられる小さくともできる限りのecoな行動を続けていくこと。
    着実に意識が変われば、しぜんと無理なく無駄なく豊かな暮らしがあるのがフツウになってくに違いない。

    Kimiko

コメントを残す

コメントは表示される前に承認される必要があります。