パーム油の何がダメなの?

パーム油、パーム油、パーム油。石けんやローション、お気に入りのスナック菓子やピザやパンにまで、すべてのものに入っているパーム油。今ではスーパーで売られているものの50%以上にパーム油が含まれると言われています。


椰子の木のなかでもアブラヤシになる実から作られるパーム油は植物性油の王様と呼ばれ、年間66万トン以上が製造されています。その多様性と安定性、低コストで生産可能なことから多くの業界で使用されています。体内や肌上に取り入れても害がなく、バイオ燃料(ガソリン)として使うこともできるんです。マーガリンやショートニングなどお菓子作りで聞き慣れた製品もパーム油が原料となります。

原料となる椰子の木は、他のオイル元となる原料の約半分の敷地面積で同量のオイルを作り上げることが可能です。スピードや効率性から考えても、多くのコスメティック製品や食品に使われる理由がわかりますね。私たちの生活の中で取り入れているパーム油の量は年々増加し、2019年には一人当たり年間8kgほどのパーム油を消費していたという統計が出ているほどです。

では、この植物性油パーム油、実態を探ってみましょう。

ボルネオは世界最古の熱帯雨林で知られていますが、1985年以降その4割以上を失っています。また、ボルネオは世界で3番目に大きい島として知られ、多くのインドネシアとマレーシアの人々の暮らしの地となっていますが、この2カ国は1985年以降、世界の8割以上のパーム油を生産するトップ2か国なのです。


(マレーシア 2016年)

世界中からのパーム油需要に応えるべく、住民は美しい熱帯雨林を燃やしアブラヤシ農園を作り続けることをかせられました。その結果、2019年だけで8578平方kmものジャングルが燃やされ、8月〜10月の期間だけで626Mtもの二酸化炭素が排出されました。これはオーストラリアが1年間に排出するCO2よりも多いのです。この数字をわかりやすく説明すると、1時間ごとにサッカー場300個分の敷地が燃やされている計算になります。

そしてこれはもちろん、そのジャングルに生存する動植物の住処を奪い、生態系をことごとく壊すことに繋がります。例えば、ボルネオに生存するオラウータンは絶滅危惧種とされ、スマトラサイやアジア象も後を追っています。

巨大熱帯雨林は地球の二酸化炭素を吸い込むシンクのような存在でありながら、あまりにも急速な破壊と二酸化炭素排出量は、まぎれもなく地球温暖化を加速/悪化させているのです。パーム油生産による森林破壊がもたらす環境破壊は、世界中の航空業界をも上回るほどの規模と言われています。

では、私たちには何ができるのか?

まず何よりもさきに買おうとしている物の原材料を読んでみてください!もしそこに「植物油」と表記されていたらかなりの確率でそれはパーム油です。できる限りそれを避けてオリーブ油やアボカド油などの表記を代わりに探してみましょう。

パーム油製品を買わないという選択が難しい場合は、せめて環境に配慮した製造方法で作られているパーム油を選びましょう。このようなパーム油は「RSPO」の認証がついているものが多く、この認識を受けたパーム油は環境や社会に配慮した規定内で製造されています。


持続可能な範囲で生産ができれば、パーム油から得られるベネフィットはたくさんあります。パーム油が作られる土地に雇用が生まれ、地域活性化につなげることもできます。また、パーム油の最大の特徴である効率的で急速な成長が、これ以上の森林破壊をせずに継続できる鍵となり、他の天然原料に頼らなくてもよくなる可能性もあるのです。

minimal living tokyo. では、サステナビリティの観点を重視し、パーム油を含む製品は取り扱っておりません。私たち消費者には、選択の自由があります。だからこそ常に「賢い選択」を心がけましょう。買い物は投票です!

  

 

1件のコメント

  • パーム油って身近に使っていたけど、たくさん使うだけ自然の森林を壊していたんだね…

    匿名

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