プラゴミ問題の救世主は目に見えないOO?!

みなさん、こんにちは!

エコニュースをフォローしていると、悲しいニュースが多い印象ですが、たまに良いニュースを見かけることがあります。今日はそんな山ほどのニュースの中から、目では見えない「バクテリア」について取り上げたいと思います!

バクテリアとプラスチック問題

   

 (画像:https://www.theguardian.com/environment/2023/sep/28/plastic-eating-bacteria-enzyme-recycling-waste)

バクテリアとプラスチック問題はどのような関連性があるのでしょうか?

実は、プラスチックを「食べる」バクテリアがこの数年でいくつか発見されているのです!その発見は2001年まで遡り、日本の科学者たちがゴミ捨て場でプラスチックボトルなどを分解する細菌の存在を確認したことから始まっています。そのバクテリアは発見された大阪府堺市のリサイクル工場を由来に「イデオネラ・サカイエンシス」と名付けられましたが、「マイクロプラスチック」という言葉がまだ流通していなかった当時はこの発見もあまり注目されませんでした。

その後、プラスチック汚染の深刻さなどがメディアで注目されるようになり、今ではゴミ問題への有望な解決法として研究が進んでいます。

イデオネラ・サカイエンシスはPETプラスチックの主成分であるポリエチレンテレフタラート(PET)を分解し、再び基本的な栄養素に変換するすごい能力を持っています。最初のラボ実験の頃は、1/20グラムの重さを持つ2cmのプラスチックフィルムと一緒に試験管に置かれ、室温の状態で、そのわずかなプラスチックを完全に液体の状態に分解するまで7週間ほどかかりました。有望ではあるものの、大規模なプラスチック廃棄物に対してはまるで遅すぎるペースではありました。

  

(画像:https://whyy.org/articles/plastic-artwork-decomposed-mealworms-asian-arts-initiative-philadelphia/)

ところがこの数年で、PET以外にも、カーペットのナイロンの主材として使われるテレフタレート(TPA)を分解できるバクテリアの発見や、大腸菌の株などを使って多数のプラスチックの種類を分解し、日常製品に使われる原材料に変えるなど、まるでSci-Fi映画のような世界をつくり出す研究がどんどん進んでいます。

バクテリア以外にも、植物食品を摂取して生息するミールワーム(ゴミムシダマシ科の甲虫の幼虫)などがポリエチレン、ポリスチレン(別名スチロフォーム)、ポリプロピレン、およびポリ塩化ビニール(PVC)を消化することができることも判明しました。1匹のミールワームは、1日に0.23 mgのポリエチレンを摂取することができるため、通常破棄されるプラスチックを消化するとなると何万匹という数になりますが、このような生物のことを知るたびに、自然の力に圧倒されます。

応用するまでのチャレンジ

どうしてゴミの埋め地などにこのようなバクテリアを放散し、後は自然に任せるようなことがいまだに現実化できていないのでしょうか?このような解決法を大規模で応用する前に、問題点がいくつか挙げられます。

一番大きな問題としては、プラスチックはすべて同じではありません。多くの酵素やバクテリアは特定の種類のプラスチックにしか対応しておらず、私たちの多くのごみは複数の種類のプラスチックでできています。ほとんどのリサイクルの取り組みは、プラスチックボトルに使用されるPETに焦点を当てています。PETはプラスチックフィルムや食品包装に使用されるポリエチレンやポリプロピレンよりも、化学的に分解しやすいという特徴を持っていますが、PETは世界のプラスチック廃棄物の約20%しかないのです。

ほかのハードルとしては、バクテリアは特定の温度、湿度、環境の中でのみ機能します。ゴミ捨て場などでこのような条件を作り出すのが難しいだけではなく、それを規模化することは実用的ではありません。最後に新しいプラスチックを作成するという低コストに対してリサイクルや分解のコスト高、放散する安全性なども含め、現実化するにあたって考慮すべき点が山ほどあります。

今はどうなってるの?

        

   (画像:https://www.carbios.com/en/)

フランスでは、プラスチック廃棄物の処分を政治対策の優先事項と位置づけ、2025年までにフランス国内で使用されているプラスチック全てがリサイクルされたプラスチック由来であることを義務付けました。このような政策に向けて2021年以降、フランスの企業Carbiosは、バクテリアの酵素を使用して、約250kgのPETプラスチック廃棄物を毎日処理し、それを前駆体分子に分解し、直接新しいプラスチックに変える運用を行っています。土に還して堆肥させるわけではありませんが、Carbios社はガラスやアルミニウムのように無限にリサイクル可能な材料としてプラスチックを扱っていけるような施設や方法を、バクテリアの酸素を使って開発しています。

Carbios社ではまず、プラスチックが破砕され、機械を通過・凍結、そして複数の化学的な手順を重ね、とうもろこしの粒ほどの大きさのペレットに生まれ変わらせ、プラスチック原料として再利用されるような形にしています。野生では、限られた量のプラスチックを分解していく酵素を生産するバクテリアに対し、Carbios社はこの酸素生産のプロセスをスケールアップし、2025年にはベルギーとの国境近くに容量が130トン以上の大規模な施設を開設する予定です。

今後の希望

  

このような発見やテクノロジーの発展はここで止まりません。近年、EUではプラスチックを完全に生分解性の材料に変えるための微生物や酵素の開発を進めたり、ドイツではイデオネラ・サカイエンシスのPET酸素を海洋藻に組み込み、いつかそれが海中のマイクロプラスチックを分解するために使用できるかもしれないという発表もしています。

イデオネラ・サカイエンシスを発見した日本の研究者たちはこのような微生物の「コミュニティー」を集め、土壌からマイクロおよびナノプラスチックを取り除くためのシステムに発展させる取り組みも行っています。もちろんプラスチックの生産を元から止めればそれが一番の解決法になるのですが、近い将来、このような微生物を活用することによって、より明るい未来が見えるかもしれません。Let’s hope!

Sources: https://www.freethink.com/energy/plastic-eating-bacteria
https://www.theguardian.com/environment/2023/sep/28/plastic-eating-bacteria-enzyme-recycling-waste
https://www.sciencedaily.com/releases/2022/03/220321150409.htm
https://www.labmanager.com/plastic-eating-bacteria-turn-waste-into-useful-starting-materials-31222

コメントを残す

コメントは表示される前に承認される必要があります。