夏を満喫したいなら、守ってほしいこと。
先日、日本に住むオーストラリア人の友人と話していて、「暑かったから湘南方面のビーチに遊びに行ったんだけど、びっくりするほど汚かったよ!」という会話になった。
「日本てとてもクリーンな国なのに、ビーチだけ別世界みたい。なんでなの?!」と言われ、その疑問、本当になんで?!と私も思った。
minimal living tokyo.を立ち上げる以前、私は海洋汚染問題に関わる仕事をしていたこともあって、日本や外国の汚れた海岸をいくつも見てきた。もう見たくない、というほど見たし、最初の方は海岸を目の前に涙したり、次第に汚れていても対して驚かなくなってはいた。それでも唯一、海岸に行くたびに今でも感じるのは、オーストラリア人の友人と同じ、シンプルな「なぜ?」という疑問だった。
《三浦海岸海水浴場 写真:タウンニュース》
この時期は特に、多くの海岸で海の家の建設が始まり、数年ぶりの海の家が見られる海岸も多く、まさに今月は海開きに向けてラッシュだ。通常、建設開始前に「海岸清掃」というものが入ったりする。巨大なブルドーザーのような重機が海岸に入り砂を巻き上げて大きなゴミを拾う。この時、拾いきれない小さなゴミは砂の下に埋もれていく。夏が終わり、海の家が解体され、台風が来る秋頃、風や波によって埋もれたゴミは新たに掘り返されたりする。
夏が本格化する前に、心しておけ!
《江ノ島海岸 花火のゴミ 写真:かながわ美化財団》
この夏、海やプールなど夏特有のレジャーを計画している人はたくさんいるはず。友人や家族、普段会えない人たちなど、私も夏は大好きなので、色々と計画を練るワクワク感はたまらないものがある。
そして特に海、川、湖など、自然の中で水遊びを楽しむ場合に心しておいてほしいことがいくつかある。
その1 お邪魔させていただいている、という気持ちで行く
私たち人間はそもそも、海や川や湖の中には住んでいない。だから、そういった場所でレジャーを楽しむときは、人様のお家にお邪魔している時と同じように、その環境をリスペクトして楽しむべきなのだ。それは海水浴などをする場合は、異物を持ち込まないように、珊瑚礁や海洋生物に配慮した日焼け止めを使うことだったり、水中に住む生き物をそっとしておく、そして持ち帰らないことだったり。人の家に遊びに行った時、黙って何かを持ち帰ったり、床や壁を汚したり、しないですもんね。自然の場合は、手土産もいらないけど!
【海を汚さない日焼け止め Little Hands Hawaii】
その2 余計なものを持ち込まない
山登りなどに行くと、みんな山頂で美味しいご飯を食べることも楽しみの一つになっているんですが、カップラーメンの残り汁や飲み残しのコーヒーなどを流し捨てている光景をよく目にします。剥がれそうなバンドエイドや、常備薬を飲んだ後の空のゴミも、気をつけておくべき。そこに元々存在しないものは、わざわざそこに持ち込まない、というのは最低限のルールかも。
その3 何も置き去りにしない
1と2を合わせて、訪れた場所を、訪れた時と同じ状態で、その場を去るということ。例えばビーチで砂遊びをして、大きな穴を掘ったとしたら、知らない人が散歩中にその穴に落ちて怪我をしてしまうかもしれない。堀った穴はちゃんと埋めて帰ろう。子供がいる場合は、砂遊びセットやおもちゃなどの置き忘れにも十分注意が必要。我が家の子供たちの公園グッズは、行った公園で捨てられていたおもちゃで成り立っているくらいよくある忘れ物です。
アウェーではやるのに、ホームではやらないの?
サッカーのW杯で、日本人のサポーターたちがゲーム終了後に会場のゴミ拾いをしていたことは世界的にもニュースで取り上げられました。言葉の通じないアウェーの環境でも、相手チームにもエールを送ったり、負けて悔しい試合後でも笑顔でゴミを拾っている姿は「日本の誇り」とか「世界一思いやりのあるサポーター」などと言われ、日本人として嬉しく思った人も多いのではないでしょうか。
《ゲーム後ゴミを回収する日本人サポーターたち 写真:The New York Times》
しかしどうしてもしっくりこないのが、これを率先して日本国内でしている人たちがそこまでいない、ということ。
野球観戦後はシート下にかなりのゴミが散らかっているし、映画館でも飲み残しのドリンクや食べた後のゴミを座席に置き去りにしているの良く見かけるし、なんなら駅のホームのベンチの下や、電車内にもペットボトルが転がっていたりする。タバコの吸い殻なんて、石の数ほどどこにでも落ちている。
「自分ち汚いのに、人んち掃除してどうすんの!」というツッコミがちょうどいいかな?
海外で清掃活動を行なった人たちは、とても素晴らしいと思うので、そのマインドをぜひ愛国心へと向けてほしい。
ブルーシートを買わないで
海開きと同時に各地で開催が予定される夏の風物詩、花火大会。
花火大会後の海岸の無様な姿は毎年メディアでも多く取り上げられ、事前から呼びかけがあるにもかかわらず、一向に良くなる気配はない。
散らばったアルミ缶やペットボトル、屋台フードのゴミ。そして一際目を引く、無数のブルーシート。
《神奈川新聞花火大会翌日の光景 写真:横浜経済新聞》
「砂の上に直接座るのも嫌だし、コンビニや百均でブルーシート買って、終わったら捨てちゃお〜。」 - なんて便利で低コストなアイディアなんだろう。そしてなんて資源の無駄使いなんだろう。ブルーシートは丈夫なプラスチックでできていて、本来何年も使えるものなのに。
花火大会の翌朝には、地元のボランティアが集まってビーチクリーンが始まる。ボランティアの方たちの配慮は素晴らしいけど、これって彼らの貴重な時間を使ってしまっているし、バンドエイド的処置にしかなっていない。
だからブルーシートを買わないでほしい。その場の、その瞬間の便利さのための何かを、買わないでほしい。
イベントを楽しむための最低限のエチケットをしっかりと考え直そう。
夏はすぐそこ!
そうこうしているうちに、今日からもう7月!! 7月といえば、私たちもminimal living tokyo.として参加4年目となる Plastic Free July、環境のために使い捨てプラスチックを削減する強化月間でもあります。
だからこそ、今まで当たり前と思っていたことをもう一度見直し、新たなステップ、いつもよりレベルアップした環境意識で過ごすのにもってこいの時期!
来週は、今年の Plastic Free Julyチャレンジも発表するので、楽しみにしていてください!