気候変動:今はどうなっている?
(2023-9 日テレニュース)
今年の冬は、1月になっても10度を超える日が続き、以前ほど暖かいコートを着ないことがありますね。温暖化はこんなに身近に感じるものなのかな、と思うことが時折あります。また、昨年の夏はテレビでも、「今年は世界的にも暑さの記録更新!」などのニュースで一杯でした。2015年に結ばれたパリ協定では、2100年までに地球の平均気温上昇を1.5 度まで(工業革命前の数値から)抑えることが主な目的でした。しかし、今はそこから9年経つ 2024年、現在の状況はどうなっているのでしょうか?
1.5度の壁
2023年11月に調査会社 Rhodium Groupが公表した最新のデータによると、2023年では既に世界的に気温が1.2度上昇しており、2100年までには約2.8度上昇する方向に進んでいると推定されています。世界全体で、温室効果ガス(GHG)の排出は今年記録的な高さに急上昇する見込みです。ただし、同じデータによると、現在温室効果ガス全体の25%を占めるエネルギー転換部門(石油・石炭などの発電所)では、太陽光発電と風力発電が急速に成長し、今後10年以内には温室効果ガス排出の低下が予測され、同様のトレンドが運輸部門でも見られます。
ただし、2度上昇までに抑えるには、低下だけではなく、ネットゼロを目指さなければなりません。
さて、1.5 度、2度、3度上昇の違いは何でしょうか?
地球史上最悪の事態
(写真:https://blogs.adb.org/)
一定の温暖化の段階まで、人間は資源の制約、経済の「縮小」、環境の再生など、新たな通常に適応することができます。しかし、温室効果ガスの排出が地球をさらに加熱させると、人間が千年にわたり頼ってきた生態系や気候システムが解体され、地球は厳しい状態となり、世界的な不平等が悪化するとも言われています。
さて、この気温の上昇も、数字だけを見たらそこまで大きく感じないかもしれません。産業やさまざまな分野で排出「ネットゼロ」が達成でき、気候変動への政策が効果を上げ、今世紀の終わりまで気温の上昇を1.5度で抑えることができたとします。これはもはやベストケースシナリオ。そんなベストケースの1.5度の上昇があった場合でも、年間平均で極端な暑さが最大で19日増加し、暖かい期間は通常より約17日間長く続くと予想されています。しかし、2度、3度の上昇となると、そのような極端な暑さの日が30-40日増えることが予想されます。
さらに、温暖化が進むことによって海面の上昇も問題になります。1.5度の温暖化では、今世紀末までに海面が約48センチメートル上昇する見込みであり、現在の水準の約2倍に相当します。2度の温暖化では海面がプラス56センチメートル。3度の上昇となると、これはもう大変です。現在世界の10大都市のうち8つは沿岸に位置しており、大規模な洪水、浸食、嵐の高潮に直面することになるため、何億人もの住民が避難し、沿岸都市の移転計画が遠い未来ではありません。
ほかにも、西アフリカ、東南アジア、および中南米の特に中央および北部のような熱帯地域では、小麦やトウモロコシなどが特に影響を受け、地元の収穫が著しく減少する可能性があります。1.5度の上昇では、3-9%の減少が予測され、2度上昇すれば、その数値が倍の6-16%の減少に伴います。
既に危機にあるサンゴ礁はどのような状況であってもかなりの悪影響を受けます。1.5度のシナリオでは、2050年までに世界のサンゴ礁の90%が危険にさらされ、2度以上の上昇だと100%サンゴ礁がなくなると言われています。
人類はテクノロジーに救われるのか?
(写真:カーボンキャプチャー施設)https://scienceofsingularity.com/
気候変動への世界的な無策の中で、「地球を救わなければならない」とよく聞きますが、最終的には、地球は気候変動を生き抜きます。地球は多くの地質学的な激変を経て今も存続しています。本当のリスクは私たちが地球を、人間の生命に適さないものに変えてしまい、文明と経済を築いた基盤を救えるのか、なのです。
しかし、数世紀にわたり、人類はテクノロジーを使い、自然と立ち向かい、気候変動に適応することを可能にしてきました。最近でも注目を集めているのが、大気中の炭素排出を削減し貯蔵する炭素捕捉技術や、極端な暑さに耐えるトウモロコシの品種の開発など、さまざまな分野で解決策が提案されています。ただし、ハーバード大学の研究によると、1960年以来、テクノロジーは気候変動の軽減に対して20%ほどしか貢献できておらず、2100年までには13%のみという予想です。今後どのようなテクノロジーが出てくるかはわかりませんが、テクノロジーに過度に頼りすぎても問題が生じる可能性があります。
これからどうする?
さて、既に1.2度の上昇という状況になってしまい、ちょっと暗い話になってしまいましたが、私はそれでも人類を信じたいと思います!地球に住み続けられる環境を守り、エコを続けていくことが重要です。皆様も同じ気持ちになれるかなと、希望を持っています!これからも私たち一人ひとりができる小さな努力が、地球全体に良い影響をもたらすことを信じ、共に未来を守っていくことが重要です。
https://www.nytimes.com/2023/11/30/climate/cop28-global-progress-carbon-emissions.html
https://www.vox.com/energy-and-environment/2018/1/19/16908402/global-warming-2-degrees-climate-change
https://news.harvard.edu/gazette/story/2022/11/can-tech-save-us-from-worst-of-climate-change-effects-doesnt-look-good/
https://medium.com/we-the-peoples/can-technology-help-us-adapt-to-climate-change-ddd06264b07e
https://blog.verde.ag/en/top-10-carbon-capture-tech/