「聖なる木」の本当の話
皆さんは、パロサント、知っていますか?
パロサントはスペイン語で、翻訳すると【Palo (tree/木)Santo(Holly・Sacred 聖なる)】という意味になります。
パロサントは他に類を見ない癒し効果抜群の香りをもち、スティックやお香、アロマオイルなどは需要も多く、日常生活やヨガの中でも使用されています。
今ではネット上でもたくさん販売されていて簡単に手に入るパロサント。
元を辿れば「木」なのですが、この木が一体どうしてこんなにも需要があるのか、一体どこから来ているのか、クリーンなパロサントと、そうでないものの違いは?
私たちが自信を持ってお勧めできるものだからこそ、皆さんに知っておいてもらいたいことを、今回はお話ししていきますね!
【聖なる木 パロサント 歴史と特徴】
パロサントは主に南米地域に育つカンラン科の香木で、主にペルー、ボリビア、エクアドル、ブラジルに生息します。甘めの香りが強く油分の多い木で、お香のように炊くことでその香りを楽しむことができます。
パロサントは、私たち日本人にも身近なイチョウの木と同じ「雌雄別株」で、オスとメスに分かれて生息しています。1本のパロサントはメスで40~50年、オスで200年ほど生き続ける木もあると言われ、1本のオス木に対して8〜10本のメス木が囲うように生えています。
パロサントの始まりについては諸説ありますが、その歴史はインカ帝国にまで遡ると言われ、お祝いの場や儀式などで神々との対話を始める時に使われたり、悪い波動や邪気を払うために使われていました。
その後南米地域では、先住民が擦り傷や切り傷などの外傷や呼吸器系の治療に使用し、パロサントの香りは現在でも邪気払いや浄化作用があるとされ世界中で市場が拡大しています。
パロサントがとても貴重な植物である最大の特徴の一つとして、自然の流れの中で完全に木が死んでしまった後にしか新しい木が生えない、という特徴があります。言い換えれば、まだ生きているパロサントを切ってしまうと次から木が本来持ち合わせているサイクルでのリカバリーできなくなってしまうのです。また、現地の伝統を重んじる人々の中では、死んで倒木したパロサントの木は、人間の手によって回収される前に、その地で4-5年寝かせる必要があるとも言われています。
近年はパロサントが長いライフスパンを終えるのを待つことなく伐採・無理な植栽が行われ、木本来の生存力が奪われここ数年で絶滅危惧種へと追いやられることになったのです。
【Blood Diamond化する"セルフケア"市場】
「幸せの象徴」とまで言われる世界で最も価値のある宝石のひとつダイヤモンド。そのダイヤモンドが採取できる鉱山を巡って争いが激化したり、罪なき市民、子供たちが強制的にダイヤモンド採掘のために働かされ多くの命が奪われている現状から生まれた「Blood Diamond 血のダイヤモンド」は有名です。このような現実を防ぐために認証制度ができるまでは、市場に出ているダイヤモンドの約5%が紛争ダイヤモンドでした。
パロサント市場も、このBlood Diamond現象に非常に類似しています。
犠牲になっているのは、生息地域に住み古くからパロサントの伝統を重んじてきた人々、そしてパロサント自体。
1本の木が成木となり、自然の流れで倒木して死に至るまでの数十年、数百年を、パロサント産業は待たずに容赦なく伐採し続けています。世の中の高まる「癒しブーム・セルフケアブーム」に追いつくように、自然の流れに逆らって不法伐採が続けられていて、このままのスピードで行くと次の世代までパロサントは残らないと言われています。
あれ?この話の流れ、なんか聞いたことあるかな?
パロサントもまた、今地球に存在している資源の多くが直面している「次の世代まで残らない系資源」のうちのひとつなのです。
「このオイルを使うと○○が治る」
「この香りで精神状態が落ち着く」
「この煙で悪いものを祓える」
自分が心地よくあるために、何かをするというのはもちろん大切なことです。でも、使うものがどこから来た何なのか、何も知らない状態でいることにも少し違和感がありますね。
幸せ最高潮の時に手に入れた宝石で、子供の命が奪われていたら。
自身の癒しとして使っていたものが、不法伐採された「神が宿る木」だったら。
矛盾だらけで、なんだか胸の奥が痛くなります。
【あくまでも自然の流れを尊重した選択】
パロサントの中でも、特に香りの強い種類の木が生息するペルー北部。minimal living tokyo.で販売するパロサントは、この地域から来ています。
ペルーでは長年パロサントの不法伐採が続き、絶滅危惧種になってしまったため、政府が厳しい認証制度を設けました。この制度に基づき、認証を受けた人以外、木の伐採・採取が許されていないこと、倒木したパロサンからしか採取できない、などが制度の主な内容です。
また、製造者・販売者側もこうした手順で採取されたエシカルなパロサントを取り扱うことが法律で決められているので、販売用のパロサント調達時にもこの認証制度を確認する必要があります。
私たちもまた、認証を受けた証明があることを確認し、初めて購入に至ります。
こうした順序を踏んでいない、いわば政府の認証を受けていない、報告をしていない「不法伐採」されたパロサントも残念ながら多く出回っていて、見た目だけでは判断できません。販売されている価格や販売元、製造元などを自分で確認して初めてわかるものもあります。
【エシカルパロサント、どう使う?】
さて、あなたの手元にあるパロサントがエシカルに調達されたものとわかれば少し安心。
今話題のパロサント、一体どんな使い道があるのでしょう?
- お香のように炊く
- 蒸留してエッセンシャルオイルとして使う
- ヒーリングや魔除けのお守りとして
- 香りによる想像力を高める効果
- 鎮静作用による瞑想の補助(ヨガなども)
他にも、ウッドビーズに加工されたブレスレットや、丈夫で硬いことから家具やフリーリングに使われることもあります。
聖なる木に宿る力は未知で、その使い方や効果を信じるか信じないかは使う人次第ですが、ひとつ言えるのは本当にとても良い香りがする、ということ!
「この香りに包まれて幸せだな〜」
そう思えるだけでも、十分な浄化作用になっているような気がします。
皆さんはどんな時に使っていますか?
また、この記事を読んでいただいたことで、あまり知られていないパロサントの背景を皆さんに共有できることができていたら幸いです。
お友達やお客様に、パロサントをおすすめする機会があったら、ぜひバックストーリーも一緒にお伝えしてみてください。
minimal living tokyo.【サステナブルパロサント】
Source: https://www.pachamama-handcraft.com/palo-santo-2/ / https://sacredvalleyexpats.com/ / https://comrose.jp/