CO2増加の「意外」な現象

近年、大気中の二酸化炭素(CO2)が気候変動の中心的な焦点となっています。CO2は空気中の熱を捕らえ、全体的な地球温暖化を引き起こすことで知られています。テレビやニュースでは、まるで世界の終わりを予測するように、土地が炎に包まれ、土地の砂漠化、海面の上昇による世界都市の沈水、、、このようなイメージがますます報道されています。データによると、過去50年間で大気中のCO2は濃度は確実に上昇しており、同期間320パーツ・パーミリオ(ppm)から約415ppmに増加と記録されています。

CO2の増加=地球温暖化と世間的に知られていますが、この CO2の増加が及ぼす「意外」な現象とは、一体なんでしょうか?


  
 (写真:https://phys.org/news/2019-01-sahara-swung-lush-conditions-years.html)

世界の「緑化」

数千年前、現在のスーダンに広がるサハラ砂漠には、強大な川が存在していました。ワディ・ホワールと呼ばれるこの川は今では乾き切った川床として存在していますが、かつては魚やワニ、カバだけでなく、農業と人々の生活を支える大事な水源でした。しかし紀元前1000年後、このサハラ砂漠は緑豊かなサバンナから砂漠へと変わってしまいました。その原因も気候変動によるものでした。サハラ砂漠の地質データを6000年遡って調査した砂漠地質学者たちによると、「温暖化」のせいで砂漠になってしまったのではなく、気温の低下とともに砂漠が広がっていったのです。地球の寒冷化により、大気が海からの湿気を保持する能力が低下し、降雨が減少し、どんどんと乾燥した気候になっていったというのです。
  

(記事引用、写真:https://www.thedailybeast.com/climate-change-is-making-deserts-greener
 
今、このような現象が実は逆転しているのです。気温が上昇することにより、サハラ砂漠や他の乾燥地域(以前は人間などが住めないと言われていたような土地)が緑化しているのです。サハラ砂漠を30年間研究している砂漠考古学と気候史の専門家たちは、「確かにサハラは緑化しています」と述べ、以前は砂漠しか存在しなかった土地も、草だけでなく灌木やアカシアの木などが生えてきていると言います。
 
皆様もご存じのとおり、植物の葉は、光合成を通じて大気中から取り入れた二酸化炭素と、地中から吸い上げた水と栄養分を化学的に結合させて、主に食物を生成します。CO2濃度の増加は光合成を促進し、植物の成長をより促します。そして、一般的な法則として、より暖かい気温は大気が海洋からより多くの湿気を吸い上げ、それが降雨増加につながることになるのです。同様に、NASA衛星データの衛星画像によると、植物や木の面積の増加はこの35年間だけで合計でアメリカ合衆国の大陸部分の2倍に相当する領域に相当しているのです!(https://www.nasa.gov/technology/carbon-dioxide-fertilization-greening-earth-study-finds/)植物の「食材」となるCO2が増えたことによって、より早く植物は成長することができ、その上湿気や降雨が増えることで、植物がより増えやすい環境につながっているのです。
      
   (Boston University/R. Myneni, 1982-2015 にかけて緑化の変化を示す)

減った緑地もあれば、増えた緑地もある

世界の広い範囲で、より暖かい気温がより多くの降雨、豊かな植物の成長、および何世紀にも「砂漠」であった地域の再緑化につながっているのです!

寒冷なグリーンランドでは農業が近年拡大しております。アルプスでは、樹木の成長が濃くなり、樹木が成長しなくなる標高である「ツリーライン」が着実に上昇しており、ダボスのスイス森林・雪氷・雪崩研究所の研究者によれば、森林も厚くなっているのです。乾燥したナミビアでは、ナミブ砂漠とカラハリ砂漠の間にある農家は、過去10年間で降雨が増加し、草が高くなり、それを食べる野生動物も増えたと報告もあります。

毎年、人間の活動から大気中に排出される約100億トンのCO2の約半分は、一時的に海洋と植物のほぼ等しい部分に保管されます。なので、もしかすると、この「緑化」によって、大気中の CO2が吸収される土地が増えるのでは?2023 年の1月に出された科学記事によると「地球の緑化の生物物理学的な影響は、地域ごとの地表温度の上昇を実質的に緩和する可能性がある」と述べています。(”Biophysical impacts of earth greening can substantially mitigate regional land surface temperature warming” • Yitao Li,  Zhao-Liang Li, Hua Wu & 8 others) 

楽観的すぎかもしれません。そして、このような「緑化」は地球が出している「SOS」のシグナルかもしれません。確かなのは、私たち一人一人が地球を大切にしていく責任があります。エコ関連や気候変動のニュースを見ていると気持ちが暗くなりやすく、絶望的にも思えてきます。でも確実に改善している部分も見受けることができます。ですから、前向きな気持ちで取り組むことも、エコアクションを続ける大事なポイントとなります!

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