COP29は大失敗で幕を閉じた?!

先月11月11日から10日間、アゼルバイジャンで開催されたCOP29。アメリカの大統領選でドナルド・トランプが勝利を納めた数日後ということもあって、アメリカの気候変動に対する動きなどにも注目が集まった今回の開催でしたが、今回はどの記事を見てもあまりポジティブな内容が見つからない!

昨年ドバイで開催されたCOP28で掲げた目標を「繰り返しただけ」で、閉幕したといわれている今回のCOP29。一体どんな内容だったのでしょうか?

COP29のスケジュール

11月11日に初日を迎えたCOP29は、議長国による開会式で各国の首脳を迎え、その後の2日間(12日、13日)で世界首脳気候行動サミットが開催されました。今回のスケジュールは下記のような内容でした:

  • 14日 金融、投資、貿易 - 気候資金の拡大や貿易のグリーン化について、 気候金融、投資、貿易の結びつきに焦点が当てられました。
  • 15日 エネルギー / 平和、救護、復興 - 温室効果ガスの最大の要因であるエネルギーについて、また気候変動による紛争や強制移住との結びつきなどについても話し合われました。
  • 16日 科学、技術、イノベーション / デジタル - デジタル技術が持つ気候変動対策を支援する可能性について、データセンターのエネルギー消費量や資源需要・電子廃棄物などについて、いかに効果的に活用するかが議題となりました。
  • 18日 人間開発 / 子どもと青少年 / 健康 / 教育 - 議長国は「気候レジリエンスのための人間開発に関するバクー・イニシアティブ」を発足。特に子供や若者への教育、技能・健康・福祉への投資促進、継続性の確立などがメインとなりました。
  • 19日 食料、水、農業 - 有機廃棄物からのメタン削減に関するハイレベル会合を開催し、気候変動が水循環や農業にもたらす影響、食料安全保障を脅かす実態に対して宣言を発表しました。
  • 20日 都市化 / ツーリズム / 交通 - 議長国は、「グリーンな建設・輸送・インフラ、都市における自然・健康・強靭性、都市気候行動への資金調達に関するハイレベル円卓会議」を開催。
  • 21日 生物多様性、先住民、ジェンダー / 海洋と沿岸域 - 先住民族は、世界の生物多様性の80%、および原生林の36%を保全していると言われています。

 最も重要な協議内容は?

今年は「資金COP」と呼ばれていて、気候資金が極めて重要な議題とされていました。

支援国とされる先進国が発展途上国や気候変動による打撃を直で受けている国に対して資金を出すというものですが、現在気候資金の目標は2025年まで毎年1000億米ドルを先進国から途上国へ供与・動員するというもの。今回のCOPでは2025年以降に新しい目標として「新規合同数値目標」が決定される予定でした。

注目されたのは、その額について。アメリカのパリ協定離脱などが予測される中で「アメリカ(トランプ次期大統領)が1セントも払わない」と仮定した場合の残された先進国の負担額が上がることは、各国首脳も十分承知の状態でした。

議論は33時間延長され、決裂寸前まで追い込まれたのち「先進富裕国が2035年までに年間3000億ドル(約46兆1900億円)の支援を行う」という目標で合意しました。

この数字は途上国が求めていた1兆3000億ドルを大きく下回るものとなり、この合意に対しアフリカやインドは不満の声を漏らし、国際連合枠組条約(UNFCC)のサイモン・スティル事務局長も、今回の合意は完璧には程遠いものであることを認めました。

「望んでいたものすべてを手に入れた国は一つもない。我々はまだやるべきことが山積している状態でバクーを離れる」と述べました。

日本の動き

さて、COPでは先進国枠として議会に参加した日本ですが、私たち国民もよくわかっている通り、日本は気候変動に対して他の先進国よりもだいぶ後退していて脱炭素に向けた取り組みが不十分とされています。今回の開催では、どんな動きがあったのでしょうか?

今回の開催期間中には、日本国内から「エネルギー」「炭素利用」「循環経済」「適応」の4つのカテゴリーに分かれて、最先端の脱炭素技術が紹介されました。

三菱重工や大成建設など、日本国民なら誰でもわかるような大企業も多々出展する中、脱炭素にはいまだ消極的というイメージが持たれている日本。

今回、浅尾環境相や環境省の気候変動国際交渉室長である小沼さんが現地入りしまし、日本は今後風力発電、特に浮体式洋上風力発電技術の利用を模索していることをアピール。それに対しオーストラリア気候変動委員会議長は同国も同じように考えていることを述べ、日本の技術が必要とされていることも明らかにしました。アメリカの対策が不透明な中で模索している部分もありますが、日本はこのまま何事に惑わされることなく、気候変動に対して明確でより効率的な対策をしっかりと持っていく必要があります。

議長国が化石賞を受賞?!

皆さんは、「化石賞」を知っていますか?この賞は、毎年COP開催中に世界気候変動ネットワークにより決定・発表される様々な賞のうちの一つで、気候変動に対して最も消極的な国に送られる、非常に不名誉な賞のことです。日本はなんとこの賞を過去に4年連続で受賞しているほど、世界的に見ても気候変動に対する取り組みが足りていないということになります。

気になる今年度の賞ですが、なんと今年は議長国であるアゼルバイジャンに化石賞が送られました!

理由は、開催期間中アゼルバイジャンの大統領が石油や天然ガスについて「神からに贈り物だ」と発言したことなどから、議長国として気候変動対策に必要とされるリーダーシップに欠けていると発表。確かにこの発言、、、万が一そう信じていたとしたならそれは個人の自由ではあるものの、空気が読めないとはこのこと!という感じがしてしまいますね。

世界が足踏み状態

第29回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)は11月24日、途上国の気候変動対策のため、先進富裕国が2035年までに年間3000億ドル(約46兆1900億円)の支援を行うとの目標で合意した。これについて、途上国からは「あまりに不十分で手遅れ」との批判が上がりましたが、COP29はこの日、閉幕しています。

合意に至った支援金は、途上国が化石燃料から脱却し、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーに投資するのに役立てられる予定ですが、これまでに気候変動対策に充てられた資金は全体の40%にとどまっているため、効率的な利用の可否が懸念されています。

2024年は世界中が猛烈な熱波や致命的な暴風雨に見舞われており、記録的な暖冬となることが「ほぼ確実」となっています。そんな中で環境保護団体グリーンピースやウォーターエイドは、この合意が「ひどく不十分である」と強調し「何百万人に対する死刑宣告だ」と表現しました。

これからの地球の未来が、私たちが住めるか住めないかの環境が、各国の首脳に委ねられています。すべての息する生物の命に関わる課題、本来なら資金に渋る余裕などないはずなのです。それでも人間は変わりゆく環境に鈍感で、目の前の産業利益を優先してしまう、愚かな生き物だな、と思わざるを得ません。

もう話し合っている時間はなく、1秒でも早く行動に移す時間。健全な環境がなければ、世界の富豪たちの富や地位も、一瞬にして価値を失うことにどうか早く気づいて、と願うしかありません。

 

参考記事一覧:A-PLAT, BCC News Japan, NHK World  

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