Shop Interview 【下町のハチドリshop&cafe】
2年ほど前、私たちが恵比寿のマルシェに出店していた時に、斜め前で同じく出店をしていた1人の女性がいました。
彼女のブースには途切れなく人が訪れ、何やら楽しそうに話をして、マスク越しでも笑顔が素敵なのが伝わります。そして「こういう製品とても気になってたの〜!実際に見れてとても嬉しい!」と駆け寄ってきてくれたのが、先日8日にオープンした「下町のハチドリ shop & Cafe」の店主である藤巻佐和子さんでした。
佐和子さんのショップには、食料品、日用品、ハンドメイド品などの他、お店の奥にはカフェスペースもあります。販売する食料品やカフェメニューは無添加で、なるべくオーガニック材料を使用したり、生産者の顔が見えるものをセレクト。今回この素敵なショップのオープンに、minimal living tokyo.の製品もセレクトしていただいています。
オーガニックやエシカルをテーマにしたお店が増えて、消費者として選択できる幅もとても広がっている近年ですが、佐和子さんのお店には長年の経験から培った丁寧さと洗練されたセンスがあります。分け隔てなく優しく包み込んでくれる佐和子さん自身の人柄に「ここなら大丈夫」という安心感も得ることができます。
今日は、そんなオープンしたてのショップについてや、ショップに込めた想いを佐和子さんに聞いてみました!
「下町のハチドリ shop & Cafe」はどんなところ?
東京都板橋区の、まさしく下町に位置するショップ。生まれも育ちも東京23区の北の方。魅力的な商店街や、味のある個人商店が残る大好きな地元で暮らし、もちろんお店も地元です。
商品セレクトではエシカルな選択をしています。オーガニックの食材や素材、フェアトレードの商品をセレクトするよう努めることはある意味スタンダードです。大量生産品や薄利多売を前提としたものづくりをしていないか、どんな生産者さんが作っているのか、どんな想いを持っている取引先なのかなど、どんどん掘り下げていくことでサスティナブルやエシカルな選択は実現できると思います。
お店奥のカフェではなるべく身体に負担がかからないメニューを心がけています。動物性不使用の商品セレクト、カフェメニュー提供をしておりますので、アレルギーの方もそうでない方も、思想の異なる方同士でも、純粋にお買い物や食を楽しんでいただけるよう工夫しています。
「ショップオーナー佐和子さんってどんな人?」
子どもの頃からハンドメイドの雑貨が大好きで、おこづかいを握りしめて地元の小さな雑貨屋さんに行くのが毎月の楽しみでした。
ひと月に買えるのは200円もしないシールや文房具でしたが、だからこそ自分のお気に入りを一生懸命選んでお買いものをするので、心はとても満たされていた記憶があります。この頃の純粋経験が今の私をつくる土台になっていたのだと、20代後半に気がつきました。
結婚4年目、会社員をしていた27歳の頃に大きく体調を崩し、仕事もやめて自信を失っていました。なんのために自分が存在しているんだろう?とさえ考える日々。このまま何もしないままだとおかしくなってしまいそうで、人とのつながりを求めていました。
そんな時に近所の行きつけのギャラリーをお借りして、友人知人の作品を集めた企画展を開催しました。趣味のような活動を続けていく中で、地元の人たちや近隣の店舗の方々とつながる喜びを知り、「これを仕事にしたい!」と決意。
2020年に開業してPOPUPを続け、先日2022年5月8日に念願の常設店舗をオープンしました。
「下町のハチドリというショップに込めた想い」
お店に来てくださった方が、物質的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさを感じていただきたいという想いがあります。精神的な豊かさとは、心と身体の健康が基であると考えています。私たちには健康的に暮らす権利があります。
自然と調和したものを囲み、人と人が顔を向けて笑い合い、明るい未来を次の世代につなげるために、今の自分にできることの一つとしてお店を開きました。
元々は私が普段食べているもの、使っているもの、お気に入りのものをご紹介したくて始めたことですが、気がついたらラインナップがどんどん増えていました。常に周りの仲間やお客様から学ばせていただき、商品のセレクトに柔軟に反映させています。
「佐和子さん x Sustainable & Ethical」
森が燃えていました
森の生きものたちは われ先にと 逃げて いきました
でもクリキンディという名の
ハチドリだけは いったりきたり
口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは
火の上に落としていきます
動物たちがそれを見て
「そんなことをして いったい何になるんだ」
といって笑います
クリキンディはこう答えました
「私は、私にできることをしているだけ」
出典:「ハチドリのひとしずく」
辻 信一監修 光文社刊 2005年
無駄に見えたり、無意味に思えたり、周りに認められない時があったとしても、今の自分にできることをやってみようという想いで、初心を忘れないために屋号を名付けました。
+αで特別な行動を起こすことも時には必要ですが、最も簡単且つ大切なことは、今していることをどれだけやめられるかだと思っています。しかもそれが「我慢」であっては持続可能ではないので、自分の行動を省みて、「納得」して行動に移すことも大切です。
自分が見えないところでもあらゆる資源が失われていることに目を背けてはいけません。その事実をチャラにすることはできなくても、仕方ないと嘆くのではなく、そのほかの部分でどれだけ貢献できるかを考えて行動(やめる行動も含め)したいと思っています。
購買意欲を無性に掻き立てて、お買いもので発散(衝動買い)させてお客様の心を満たすのではなく、一つ一つの商品や作品に込められた想いや物語を丁寧にお伝えすることで、お買物という行為自体が丁寧になり、良いものを選んで買ったものを長く大切にしたいという気持ちが湧くような接客を心がけています。
間接的かもしれませんが、全てのことは回り回っているので、こういったこともサスティナブルな行動の一つ。たくさん買って、たくさん捨てて、という行為を見直すための行動であると思っています。
「それぞれが置かれた環境で、持続できる方法で、今していることを見直す」ということかもしれません。自分の間違いを恐れず、まずはやってみる、やめてみる。わからないならわからないなりに調べて実践してみる。
これからも学びながら、試行錯しながら、お客様や取引先さまと共に明るい未来をつくる努力を続けていきます。
お茶ができる暮らしのセレクトショップ
【下町のハチドリ shop&cafe】
営業日:木〜日/12〜19時
定休日:月〜水(変動あり)
板橋区板橋2-34-3メゾンクレスト1F
Shop Instagram: @local_hachidori