気をつけて!冬のアウターに潜む超NG物質とは?!

こんにちは、エリです!

11月も中旬、関東圏内でも10度を下回る朝もあり、街を歩くと丈の長いウィンターコートなど、厚手のアウターを着ている人が多くなりました。

突然ですが、皆さんの冬のアウターはどんな素材ですか?

厚手のウールコート、もこもこのダウンジャケット、完全防風水・高機能アウター、などなど。アウターにもいろいろな素材があるのですが、今日は中でも防水や撥水機能のあるアウターに使われているとある化学物質に注目して行きたいと思います。

永遠の化学物質

この言葉を聞いて思い浮かべる化学物質の名前はありますか?

近年では日本の水道水からも基準値を大幅に超えた量が確認されているPFAS(Polyfluoroalkyl Substances ピーファス)のことです。PFASの科学的特徴は、非常に高い残留性と蓄積性で、ほとんど分解されることがないため環境中、水中、食べ物、そして人の体内に蓄積していくことが明らかになっています。

分解せずに蓄積したとしても、無害であれば問題はないのですが有毒性が高いこともPFASの特徴であり最大の懸念でもあります。

水道水の飲み水は私たちの暮らしにとって必要不可欠なもので、その水がPFASで汚染されていることはとても問題です。PFASが流出している水源やその可能性がある水源の近くに暮らす人たちには専用の除去フィルターなどを使用して水を使うことが勧められています。

でもPFASは、飲み水にたまたま混入してしまった珍しい化学物質ではありません。私たちが日々の生活の中で使うものの多くに含まれ、知らずと体内に取り込んでいます。食材がくっつかず少ない油で調理できる「テフロン加工」されたフライパンなどにも使用されているのは同じ物質です。また、私たちが着用しているアウターにもまた、同じ物質が使われています。

「DWR」表示は要注意!

防水、撥水、汚防、形状記憶など、「高機能性アパレル」と呼ばれるタイプの服は、このような機能を備えるために「DWR(Durable Water Repellent) 撥水加工」が施されていて、ほとんどの場合この加工に使用されるベースの化学物質はPFASが使われています。

どのような衣類で使われているかというと:

  • レインコートやウィンドブレーカー
  • スキー・スノーボードウェア
  • 防水・防汚加工された子ども服やレインブーツ
  • 「撥水」「防汚」「防油」と表示のある製品

など、見た目的にツルツルした表面の素材、多くの場合はPFAS加工が施されています。

DWRの本家と言っても過言ではない「GORE-TEX(ゴアテックス)」素材は、聞いたことがある人も多いと思います。有名メーカーのダウンジャケットやアウターにも多く使われている機能性生地の名前で、W. L. Gore & Associates社が製造しています。このGORE-TEXもまた、この2025年秋冬のコレクション*に至るまで、自社で製造する生地のほとんどに意図的にPFASを起用してきました。

また、成人よりも化学物質による影響を受けやすい子供用に作られている衣類などについても注意したいところです。一部の報告では、全世界で生産されている子供の衣料品・制服・関連テキスタイルのサンプルのうち 約半数(53%) が中国製であり、他国(主にインド、バングラデッシュ、スリランカなど)で製造された衣料品と比べてもPFASの検出率が高いということがわかっています。

PFASが使用された衣料品を避けるべき理由

肌からの直接の吸収量はごく微量だとしても、PFASの特徴でもある蓄積性・残留性の高さにより一度体内に吸収されたものは酵素や肝臓の代謝でもほとんど分解されません。

実はPFASには種類があって、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)・PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)・PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)の3つに分かれます。この中でもPFHxSは体内に吸収された後半減するまでに約8-10年ほどかかると言われていて、その間にも微量ながらに吸収が続いた場合は半減期は有に数十年を超えることも考えられます。

吸収を繰り返すことによって考えられる健康リスクは:

  • ホルモンバランス(内分泌)の乱れ

  • 免疫力の低下

  • 肝機能への影響、動脈硬化、コレステロール上昇

  • 生殖機能・発達への影響

  • がんリスクの上昇(特定の種類で報告あり)

衣類から直接吸収される量は少ないとされていますが、洗濯排水や環境経由で食物や水に混入し、結果的に体内に取り込まれることがあります。

PFAS不使用のアパレルブランド

PFASによる被害は健康だけではなく、環境面でももちろん甚大な被害をもたらします。工場などで使用されたPFASの残留処理がきちんとされていない場合、汚染物質としてそのまま水源や土地に流れ出て水質や土壌を永遠に汚染することになります。

アパレル業界においても、製造過程でPFASを使用するということは、始まりから終わりまでその半永久的な汚染に関わっていることになります。そんな中、製品の製造に関してPFASフリーの取り組みを進めているブランドをいくつか紹介します:

  • Patagonia(パタゴニア)
    2025年までにすべての撥水加工をPFASフリーに移行予定。現在すでに約96%が達成。

  • Jack Wolfskin(ジャックウルフスキン)
    2019年以降、ほとんどの製品でPFAS不使用。

  • Kari Traa(カリトラー)
    2013年からPFASを全面排除。

ECOALF、TenTree、REI Co-Op、CotopaxiなどもPFASフリーですが、日本国内では手に入らないメーカーも多いという印象を受けます。国内で比較的簡単に購入することのできるDWR加工アウターなどが多く販売されているTHE NORTH FACEやArcteryx は残念ながらPFASフリーではありません。

毎日の中で気をつけること

アウターでPFASフリーを気をつけていたとしても、PFASトラップは続きます。プラスチック製品とほぼ同じくらい、PFAS使用製品は完全に避けて通ることはできないでしょう。

そんな中でもできるだけ自らのPFASに対する露出を最小限にするためにできることを、最後にいくつか紹介しますね。

  • 新しく何かを購入するときには、PFASフリー」「PFCフリー」「フッ素不使用」と明記された製品を選ぶ(ブランドに問い合わせて使用されているかを確認することも可能)
  • 衣類に関しては、可能なら天然素材やワックスコーティングなど代替素材を選ぶ
  • 飲み水に関しれは、 浄水器(活性炭フィルター・逆浸透膜式など)を使う
  • 加工食品や包装材を減らす(包装紙やピザボックスにもPFASが使われることがあります)

この記事を読んでPFAS への知識が深まったところで、これらを心がけて、引き続き賢くサスティナブルな選択をしていきましょう。

それにしても「永遠のケミカル」と呼ばれるほど百害あって一利なしな化学物質を作ってしまった人間て、、、what's going to happen to humanity?!

 

*GORE-TEXは2025年秋冬に初めて“ePE membrane”と呼ばれる次世代型素材を起用し、意図的なPFASの追加を完全に廃止すると公表しています。

コメントを残す

コメントは表示される前に承認される必要があります。