循環する食べ物とは
You are what you eat (あなたは、あなたの食べたものでできている)と言われるぐらい健康な生活には欠かせない食べ物ですが、「食」に関する毎日の選択肢がどのように地球へ影響を及ぼしているか、考えたことはありますか?
最近ではスーパーなどに行くと、迷うほど選択肢がたくさんあります。たんぱく質の種類から(お肉の種類だけではなくプラントベースミートのオプションまで!)、野菜(輸入品、旬の野菜、温室野菜、無農薬、パッケージフリー)や、または加工品も数え切れないほどの種類!
多くの人が好きにな時に食べたいものを食べることができる社会ですが、このように便利さを重視した生活は、食の悪循環に繋がっているという悲しい現状もあります。
過去は今よりも食の循環がサステナブルで、それぞれの自治体やコミュニティ内に農村などがあり、住民はその地で栽培された物を食べ、食べられない部分や残り物はコンポストしていました。土は栄養素を豊富に含み、健康な土壌の上で繰り返し農作物が育つ、いわゆる地産地消が実践された循環型構造ができていました。
しかし、グローバル化が進み、都市が拡大していくことで、利益重視の資本主義経済と変わり、住民は農村から遠ざかり、今では自分が住む土地でどのような農作物が育っているかもわからない人が多いのが現状です。グローバル化が進んだサプライチェーンでは、莫大な石油を要する輸入食品が主流食物となり、かつてその地の種多様な農作物が栽培されていた豊かな土地も土壌も、輸出目的で単作の農作物に絞られ、土壌そのものの健康をも奪う結果となっているのです。(参考:Sustainable Life Media)
フードロスも食の悪循環を及ぼす大きな要因です。現在、各自治体が運営する焼却炉に持ち込まれる廃棄物のうち、4~5割が食品です。一般家庭から排出されるものだけでなく、食品スーパー、百貨店、飲食店等、私たちが日常的に利用している場所からも焼却炉に持ち込まれているのです。
現に、年間1兆9,495億円(2015年度)がごみ処理経費として計上されていて、私たちの税金の1兆円近くが、食べ物を燃やすために使われていることになります!(参考:公益社団法人日本環境教育フォーラム)
また、水分を多く含んだ生ゴミ類は、通常のゴミを焼却するよりも多くのエネルギーを必要とします。焼却されない生ゴミは埋立地に放り込まれますが、環境が整っていないため分解されず、二酸化炭素よりも悪影響のあるメタンガス発生の原因にもなっていて、温暖化の大きな要因となっています。
こうしたフードロスや食材破棄問題について国立環境研究所は、『食べられるものなのに捨てられている食品ロスについては、人間向けの食料として生産されて食卓まで運ばれるまでにすでにたくさんの資源やエネルギーが使われてしまったという非効率性、地球の一部では人々が飢餓で死んでいる状況の中で食べ物を無駄に捨てる非倫理性、そしてまた資源とエネルギーを投入してこれら生ごみを処理しなければならない』と述べています。
では、私たちが毎日食べる食材や食事のスタイルから、変えていけることにはどんなことがあるでしょうか?
BUY LOCAL & IN SEASON
サプライチェーンの再ローカル化は今、一番重要なのではないでしょうか。
まず自分が住んでいる地域の農家から旬の野菜を買う、ということが食のローカル化につながる大事なステップです。私はもう7年間ほど毎週ファーマーズマーケットに行って、ほぼ旬の野菜だけを買うようにしてます。もちろん、100%は難しいのですが、旬の野菜はシーズン外の野菜より栄養を豊富に含み、何より美味しい!これにより地元の農家さんもサポートすることができますし、輸入野菜に伴う二酸化炭素排出量も削減できます。農家の方との会話で自分の食べ物がどのように育てられたか、なども知ることができます。
なるべくフレッシュな食材を食べよう!
加工食品(冷凍食品やお菓子など)は、加工されるまでに莫大なエネルギー消費を伴い、プラスチック製の袋やトレーにパッケージされているものがほとんど。すでに調理済みものが多く、便利ではあるものの、長持ちさせるための保存料や添加物、調整材のほか、見栄えや味を人工的に向上する着色料、加糖類、化学調味料など、環境だけでなく健康への被害があるものを多く含んでいます。新鮮な食材であればあるほど、これらの人工的原料が含まれていないので安心して食べることができます。
(家で育てたベビーリーフ)
COMPOST COMPOST COMPOST
単作作物(大豆、ひよこ豆、トウモロコシ、麦)などは栽培時・収穫時に大量の農薬を使用する作物の一種です。農薬による人体への影響は言うまでもありませんが、土壌に及ぼす悪影響もとても恐ろしいものです。このような単作作物を継続して栽培することにより、土壌の栄養素が減少し、栄養素の低い野菜が育ちます。健康を失った土を本来の状態に戻す作用があるのがコンポスト。食べられない野菜の部分を土に戻すことで、焼却炉や埋立地行きを逃れ、家庭ゴミの量も減り、元気な土ができていくのです。食べ物のサイクルには欠かせないウィンウィンな循環方法ですね。
(家のコンポストを使って育てたスイスチャードはジャンボサイズ!)
自分で野菜を育てよう!
コンポストを始めると、できあがったフカフカの土を使用して家庭菜園をすることができます。私が本当に食べ物の循環性を感じるのは、家のコンポストからできた土を使って育てた野菜を食べる時です。食べられない野菜をコンポストし、食べられる何かを育てると言うサイクルを、自分でやるからこそ学べる食物の大切さや育て方の難しさがあるとともに、食べた時の感動は人知れず!
そして自分で育てた野菜はもちろんプラスチック包装などはされていないので、まさしくゴミゼロで消費することができるのです。都会やマンションなどに住んでいて、小さいスペースしかなくても簡単にできるので、ぜひ自分だけのサスティナブル菜園、試してみてください!
環境問題に対して、自分には何ができるのか日々考えながら生活の中で出来ることを少しずつ実践していますが、その中の一つがコンポストです。毎日、お料理の時に出るお野菜やフルーツのヘタや茎、卵の殻、揚げ物の残りの油やパン粉まで、キッチンで出る生ゴミのほぼ全てをコンポストしています。そして堆肥は庭で育ててているハーブや野菜に使っています。昔は嫌いで邪魔者扱いだった虫さん達も、コンポストの生分解の大切な役割をもっていると思うと可愛い?仲間です。生ゴミが全て土に帰ると本当に捨てるゴミが減ります。今はまだ少ないけれど、いづれは自分達が食べるものは出来るだけ自分達で栽培して収穫する、というのが目標です。
本当に必要な物だけを必要な分買い、一生使うつもりで大切にして捨てない。というのも今、1番大切にしていることです。みんなが1人1人実践していけたら、より良い環境にしていけるかも…