40歳から始める、健康な人生を送るための3鉄則
以前にも何度かお勧めしている「老化負債」という書籍で、人の老化は一定のペースで起きるのではなく、44歳と60歳ごろの2つの時期に急激に進行すると書いてありました。
これは、「老化の節目」と言ってこの2つの年齢付近になると体内の生体分子や代謝機能に変化が現れることが原因となっています。
例えば44歳付近では、脂質や炭水化物の代謝、筋肉や皮膚の組織に大きな変化が起こります。食生活は変えてないのに、30代の頃と比べてお腹周りに脂肪がつきやすくなっていたり、たっぷり寝たつもりでも疲れが取れにくかったり、脂っこいものを食べると胃がもたれたりと、目に見えてわかりやすい変化が起こります。
そして60歳付近では、免疫機能、腎臓機能、心臓血管系に関わる因子などが急激に低下しやすくなります。睡眠による回復力がさらに落ち、病気のリスクも高まるため、今までよりもさらに強化した健康管理が必須となる時期です。
そしてこれらの「変化」はそれまでの人生においての生活習慣の積み重ねで体にとって負担なことが多いほど大きな「負債」となり、年を重ねるごとにのしかかる、ということです。要は「老化負債」は自分が積んだ不摂生の量、とも言えますね。

38歳の時に、同世代の親友の末期癌がわかり、当たり前すぎて忘れかけていた「生かされていることの奇跡」を全く違う局面から考え直す時期がありました。そしてこの本を読んだのは39歳の時。40歳を目前に「歳を取る」という概念が、この頃から大きくシフトしていった転機だったと今では思います。
今まで比較的健康体だったことにかまけて、してこなかったこと、してきたと思っていたことが、大きな後悔の波となって押し寄せてきたのです。このままでは理想的な「健康体」を維持できなくなるかもしれない。一部の病気は人を選ばず、遺伝的なものや自身でコントロールできない要因がありますが、健康を維持するための管理で、避けられる疾患や発症リスクを下げる病気も非常に多いのです。
今回のタイトルにもあるように、私はこれから、健康な人生を送るための「3鉄則」を紹介します。先に言っておきたいのですが、これらのことは全て「当たり前」のことです。どの本を読んでも、どの医者の話を聞いても、どのヘルス関連プロフェッショナルと話しても、全ての答えは最終的にこの3つにたどり着くのです。だから最初は「なんだ、こんなことか」と思うでしょう。
こんなことくらい、前から知っていたし、わざわざ言われなくても分かる、と感じるかもしれません。私も実際長いことそう思っていました。ではなぜわざわざ、すでに同じ情報があるのにも関わらず、それを繰り返してまで皆さんに伝えたいのか。
それは私自身も含め世の中のほとんどの人が、「知っている」ことと「実践している」ことを繋げていないからです。知識と行動を繋げなければ、事実として残らない。健康に良いことをたくさん知っていても、実際にそれらを生活に取り入れていないなら、それは言わば宝の持ち腐れ。脳内タンスの肥やしです。
繰り返し同じことを読み、聞き、話し、時間をかけて体に染み込ませて行く必要があります。そして時にハッとさせられるような出来事を返して、人生における本質的なものが見出されるかもしれません。
だからこれからお伝えする3鉄則を、自分の体がそう動くようになるまで、繰り返し読んでくださいね。
1. 食事の見直し
先週のブログでも触れたように、私たちの体は私たちが食べるもので作られています。食事は生きることの主本であり、なくてはならないものです。40歳を過ぎると、糖質や炭水化物の代謝機能が落ちてくるため栄養バランスをより意識した食べ方が重要です。健康維持のために1日2食にしたり、1食をジュースで置き換えするダイエットなど色々な情報が混在していますが、特に40代女性で言えば "Perimenopause" (35〜45歳前後の更年期に入る前の状態)の時期になるので女性ホルモンのバランスが著しく乱れる時期でもあります。食事を抜くことや、過度なダイエット、十分な量の食事を取らないことはのちに訪れる更年期にも大きく影響を与えます。
ここでお勧めしたいのは、3食しっかり食べることと、その全てで「バランス」を重視することです。先に述べたように糖質と炭水化物の代謝が鈍くなっているので、この摂取は最小限にします。メインになりがちなお米やパン、麺類ですね。これらの栄養素は多く摂りがちですが、血糖値の上下昇が激しく満腹感が持続しないという欠点もあるため、たくさん食べたと思ってもすぐに空腹を感じてしまう仕組みになっています。朝ごはんやランチを菓子パンやおにぎりで済ませていると、食後に眠気や倦怠感を感じやすいだけでなく、1時間後にはもう小腹が減っているはずです。
糖質・炭水化物とは裏腹に多めに摂取をお勧めするのは、タンパク質と食物繊維、そして良質な脂質です。骨・血・筋肉を作る炭水化物は肉・魚・豆類などで、満腹感を維持できる栄養素です。そこに食物繊維や良質な脂質を合わせることで消化を助け、健康的な腸の状態を保ちます。緑色の濃い野菜、旬の野菜、火を通すことで栄養吸収が上がる野菜、生で食べられる野菜など、組み合わせや食べ方は無限です。調理に使う油もオリーブオイルなどの酸化しにくいものを選び、さらには加熱温度にも気をつけながら取り入れると体にとって良いことがたくさんあります!
食べ方にもトリックがあります。
血糖値を気にするのは糖尿病の人だけと思うかもしれませんが、私たちの体内では常に数値が上下し体に何らかの負担を与えています。食事により血糖値が急激に上昇するたびに、血管の内側をブドウ糖が直接傷つけるため、これが繰り返されることによって動脈硬化や心疾患のリスクが上がります。糖質・炭水化物をゼロにする、ということは難しくても、これらを摂取する前に食物繊維とタンパク質を優先的に体内に取り入れることで、糖質・炭水化物を食べた後の血糖上昇を大きく抑えることができるのです。生活習慣の乱れから糖尿病(2型)を発症してしまうと、そこから巻き戻すにはかなりの労力が必要になるので、食事はかなり重要と言えます。
わかりやすくすると、フランス料理が出てくる順番を考えてみてください。
一口サイズのアミューズが出た後は、サラダや冷製の前菜(食物繊維)、そして季節野菜のスープ(食物繊維)、お魚やお肉料理(タンパク質)、デザート(糖質・炭水化物)というパターンが多いです。フランス料理の場合、前菜の後にバゲットが出されることが多いので、それを食べるタイミングは調節が必要ですが、それ以外に関しては理想的な食べ方の順番なのです。
野菜クッション、タンパク質のブランケット→からのみんな大好き炭水化物、という順番を意識して食べてみてください。
朝ごはんにフルーツをたくさん使ったスムージーが健康的!と思う方もいるでしょう。ほとんどのフルーツは糖質が高く、それをブレンドすることで本来持っている豊富な食物繊維さえ破壊してしまうことになるため、食べるならそのまま。卵料理や納豆、カット野菜などを食べた後が理想的です。
そして言うまでもないですが、できるだけ加工品や出来合いのものを避け、自宅で自分が調理したものを食べます。自炊中心にすれば、体内酸化が進む酸化脂(市販の揚げ物や脂質高めのお惣菜など)や、保存料や添加物などの過剰摂取も避けることができます。これが健康的な食事への第一歩かもしれません。健康的な食事の準備には、ある程度時間がかかる時もあります。でもその時間は、健康を害した時に治療に費やさなければならない時間(それとお金!)に比べたら、足元にも及ばない、ということを理解してくださいね。
2. 適度な運動

人は30歳をすぎたあたりから、10年ごとに8~10%ずつ筋力が低下していくと言われています。筋力が低下すると単に重い荷物が持てなくなるだけではありません。
基礎代謝と直につながる筋肉は、減ることで「太りやすく痩せにくい体」になってしまいます。関節痛や冷え性、疲れやすさにも直で関係しているため、急速に減少すれば転倒や骨折にもつながります。食事を減らすだけのダイエットや、ダイエット薬の摂取などでも筋肉は大幅に減少し、骨までスカスカになってしまうと言うケースも少なくありません。(実際にGLP-1と呼ばれる消化管ホルモンがベースのダイエット薬を服用し続けることで骨粗鬆症のリスクが高まることが分かっています)また、筋肉量は先ほども話した血糖値の安定にも非常に大切なため、筋肉量を増やすことで糖尿病リスクも下げることができます。
ではどんな運動が「適度」な運動なのか?これには個人差がありますが、私自身の経験からシェアしていきたいと思います。
私は幼少期〜学生時代までは生粋のインドア派でした。小さい頃、運動系の習い事をするわけでもなく、中学時代も吹奏楽部、体育の授業は本当に苦手で、家で映画を見たり本を読んだり、絵を描いたりすることが大好きでした。このまま特に何も運動をしないまま大人になったので、20代に入っても運動習慣はなく、たまに流行りのヨガスタジオに行ってみるくらいで、汗を流す心拍が上がる運動はほとんどゼロでした。私のように運動習慣がそもそもない人は、大抵の場合運動神経(またはセンス?)もそこまで良くありません。小さいころに養われる基礎的な運動能力みたいなものに欠けているからだと思います。なので30代になった頃、子供と一緒に公園で遊んでいてウンテイや鉄棒が全然できなかったり、追いかけっこもすぐに息が切れたりと、自分の「筋肉貯金」がものすごく乏しいことに気づき始めました。そして運動神経の悪さは、運動しない理由にはならないことにも、やむをえず気づく羽目になったのです。
全く運動をしてこなかった人が、急に10キロ走ることは不可能です。必ず怪我をしますし、体にも大きな負担があります。なので私は「ウォーキング」から始めました。人は何事も習慣化するのに3週間はかかる、と聞いたのでまずは3週間を目指し、1ヶ月、2ヶ月、と習慣を伸ばしていきました。ウォーキングを始めて4ヶ月目くらいで軽いジョギングを試し、1年かけて「ランニング」と呼べるまでにシフトしていきました。1年前はウォーキングが自分にとって適度、習慣化することで1年後はランニングが適度になる。体の状態と相談しながら、その時々で適度な運動をすることがまずはじめの一歩です。
また、ここではランニングを取り上げていますが、有酸素運動以外に、いわゆる「筋トレ」と言われる体に自重やそれ以上の重みをかけて筋肉を刺激するトレーニングなどもあり、筋力が低下する40代前後の女性には特に必要とされるトレーニングの一つと言われています。重いものを持ち上げるトレーニング=男性専用、という考えはもう古く、女性も同じように筋力を保ち、トレーニングを継続することで老化と共に起きるさまざまな健康リスクを下げることができるのです。私も最初はランニングが心地よかったのですが、最近では1週間の間でランニングとウェイトトレーニングを交互に取り入れ、有酸素と無酸素運動のバランスを重視することで、筋肉量を維持できるようにしています。
筋肉=マッチョ!というわけではないんです。自分の体重に対して理想的な筋肉量を保つことのメリットは計り知れず、体を自由に動かすことができる基本的な「運動機能力」だけではなく、糖尿病や動脈硬化、様々な癌やその他の生活習慣病リスクを下げ、骨密度を高く保ちます。筋肉は脳への影響も大きく、筋力を保つことが脳の老化や伝達の衰えを防ぐことがわかっています。
必ずしも激しく動いたり、ものすごく疲れる運動が適度とは言えませんが、しっかりと汗がかけて、心臓がバクバクしているのがわかるくらい心拍数が上がっていると運動のメリットが得られていると言えるでしょう。心拍数の数はゾーン1〜6に分けられていて、運動時の自分の理想的な心拍数が計算できる方程式などもあります。アップルウォッチなどのヘルスデバイスをつけていればすぐにわかるので、使っている人も多いかもしれません。
私のように運動習慣や筋肉貯金が元々ない人は、まずは3週間、習慣化を目指してみてください。
3. 質の高い睡眠

私たちの脳は、寝ている時も忙しく動いています。そんな中で「よく眠れた!」と毎朝思えるのは実はなかなかハードルが高く、現代社会では睡眠の質の低下が非常に深刻になっています。
睡眠の質の悪さは、多くの生活習慣病と直結しているだけでなく、さまざまな精神疾患にもつながっています。例えば睡眠時間の短さ・質の悪さと、うつ病発症率、発症後の再発率は比例しています。眠れていないと、的確な判断ができなかったり、話が支離滅裂になったり、過食状態になったりします。こう書き並べているだけでも健康とは程遠いところにいるような気がしますよね。
「自分は睡眠が浅い」もしくは「寝ても寝ても疲れが取れない」、こう感じていたら以下のアプローチを試してみてください。
寝る時間と起きる時間の一定化:最近の研究では睡眠時間の長さよりも、決まった時間に寝て、決まった時間に起きることの習慣化が良質な睡眠につながると言われています。例えば、1週間の中で平日は12時ごろ寝て7時に起きていても、週末は昼過ぎまで寝ていて、夜は2時くらいまで眠れない。そうすると月曜日の朝は必然的に寝不足で、週のスタートが万全でなくなってしまいます。
ここでも運動と同じ習慣化が重視されるので、まずは3週間、就寝時間・起床時間ができるだけずれないように生活してみてください。私は今、夜は9:30~10:00の間に就寝し、朝は5:00~5:30の間に起床します。週末は目覚ましをかけませんが、だいたい同じ時間帯に眠くなるし、朝も起きる時間があまり変わりません。睡眠の体内時計が習慣化されているからです。睡眠時間を統一すると、就寝中に深い睡眠やREM睡眠が起こるタイミングも似てくるので、体や脳がしっかりとリセットされる時間が設けられるのです。
寝る前のルーティン:就寝1時間前からスクリーンを見ない(スマホやパソコンなど)、外が暗くなったら室内の照明もそれに合わせて少し落とす、入浴やシャワーは就寝の90分前前後、ものすごく難しい問題や深い話し合い、ストレスフルな内容の会話などを避け、心身ともにリラックスした状態に持っていく。これらは全て理想なので、全部完璧にできなくても大丈夫です。スクリーンフリーな時間を作ることは、最優先してもいいかもしれません。
もう少ししたら寝る時間だよ、と体が認識できるような行動をいくつか取り入れることで、ベッドに入った後目を閉じて眠りに落ちるまでの待ち時間が短くなります。寝付きの悪さも睡眠の質に影響してきますからね。私は就寝前にハーブティーを飲んだり、ゆっくりとストレッチをしたり、パロサントを焚いたりするのが好きです。
寝る前の食事:鉄則の1番最初に述べた健康的な食事をしていれば、特に問題はないのですが、もちろんたまには外食もするし、遅くまで家族や友達と美味しい食事やお酒を囲んでワイワイすることもありますよね。もちろんこのように楽しい時間を過ごすことは大切なので、絶対にしてはいけない、というわけではありません。しかし特別な行事以外の毎日の中では、就寝3時間前にはその日の食事を終わらせておくことが理想的です。食事を終え、血糖値がゆっくりと下がり空腹時の血糖値に戻ったところで眠りにつけるからです。また、お酒はやはり、残念ながら百害あって一利なしです。週末やお休みの日の楽しみとしてとっておいて、普段は控える、週末に飲む量も調節するなどの努力が必要です。アルコール摂取は睡眠サイクルを乱し、脳や体が解毒する深い睡眠を妨げる原因になるので、質の良い睡眠とは反対側にある、と言っても過言ではないでしょう。
知識を行動へ

ということで、3鉄則は「食事の見直し・適度な運動・質の高い睡眠」という非常にわかりやすく、「もう知ってるわ」な内容でしたよね。ただ、それぞれを深堀していき、自分に矢印を向けてみると、この3鉄則が突然とてつもなく難しいものに感じられるものです。
色々なことが倍速で過ぎていき、情報処理が追いつかない今の時代。私たちは皆常に忙しく、頂上のない山を登り続けるようなキャリアの中で、守らなければいけないものを多く抱えています。そんな中で「健康」という全ての土台となるものが見えなくなり、その土台自体に揚げ足を取られるように生きているのかもしれません。これは、どんな高級車や大きな家を所有していても、たくさんのバケーションを企画しても、仕事で大成功しても、健康な地球環境の上でしかこれらが成り立たないのと、全く同じです。健全な土台無くして、私たちは誰も生きられないのです。
minimal.が以前から常に伝えている、「自分を大切にする」という理念。この3鉄則はこの理念の根底に存在する生き方そのものです。そして、一分一秒思い出すことは難しくても、「私たちは皆、生かされている」という奇跡を、忘れないためのバイブルにさえなり得るのかもしれません。自分を守る知識、環境を守る知識、一度きりの人生を全うするベースの知識をものにしたなら、確実に行動へ移してみてください。
当たり前のことが、日々の忙しさから知っていても後回しや全くしない生活になりがちですよね。
その当たり前がとてもわたしたち人間の健康的な体に大切なのがを改めて思いました。
少しずつからでも、取り入れていき心身共に健やかに暮らしたいです。