World Ocean Day! 私と海ゴミとの出会い
Hello! エリです!
明日6月8日は世界海洋デー " WORLD OCEAN DAY" です!毎年、春から夏へとシフトしていくこの時期は、日本ではちょうど海へ繰り出す人も増えるのでちょうど良い時期にこの日があると感じています。今週は、そんな海と、私が海ゴミに出会ったストーリーを少しだけシェアしますね!
WORLD OCEAN DAY とは?
【写真:カナダ・ブリティッシュコロンビア州ユクルーレット沿岸の入り組んだ場所に溜まった漁具などの漂着ごみ】
そもそもこれは何をする日なのか、というと、年を遡ること1992年。ブラジルのリオデジャネイロで開催された「地球サミット(国連環境開発会議)」で参加国だったカナダが提案したもので、海と人間の繋がりを再確認し、海洋環境の保全や持続可能な利用についての意識を高めることを目的としています。
これはのちに、2008年の国連総会で日にちが確定され、翌年2009年より世界的に共通した日として公式に実施されるようになりました。
毎年6月8日には世界各国で海洋環境を守るためのイベントが数多く開かれます。また、公式サイトでは毎年新しい重点課題としてテーマが掲げられ、今年2025年度は「Sustainable fishing means more」として持続可能な漁業の重要性に焦点を当てています。
日本国内でもこの時期には、海洋保全の活動をしている非営利団体などをはじめとし、シンポジウムの開催、海洋ゴミの問題に関する啓発活動や教育プログラムなどが数多く行われます。
ちなみに6月は国際環境デーもあったりと、1ヶ月を通して環境に対する意識を強める強化月間でもあります。
私と海ゴミとの出会い
【写真:地元のホエールウォッチング(クジラ観察ツアー)の会社が清掃活動のために無償でボートを出してくれた時。バンクーバー島は小さな入り組んだ島がたくさんあるので、小回りのきくボートやシーカヤックでの移動が必須。】
これは以前にもイベントやInstagramのLIVEなどで少し話したことがあるのですが、私と海ゴミとの出会いは2011年の東日本大震災から1年後のことでした。震災から1年経った後、私は当時カナダのブリティッシュコロンビア州で暮らしていたのですが、住んでいたところから5時間ほどで行ける海岸に東日本大震災起因の漂着物が大量に流れ着くという予報が流れました。
震災直後、私はカナダで日本に縁もゆかりもない人たちが本当にたくさんの資金寄付をしてくれたことに驚き、胸が熱くなったので、元々一緒に活動していたボランティア団体のみんなと一緒に漂着物の清掃・回収に行く、という計画があっという間に進みました。
あの時お世話になったたくさんのカナダ人が住んでいる海岸、日本からの震災起因がれきがたくさん流れ着いているのなら、日本人である自分たちがクリーンアップに向かうことで、恩返しができる!みんなそう考えたからです。
私たちはその後、数十人の日本人ボランティアと共に定期的に海岸を訪れ、たくさんの瓦礫を回収しました。陸前高田市内の学校の名前が書かれたバレーボールや、古い家の欄間、カナダでは見かけない日本ならではの引っ掛けサンダルなど。本当に震災の津波で海に流れ出たものがたくさん流れ着いていました。
【写真:数々の無人島に上陸。足場が悪いので機械や車は入れず、人動力だけで大きなゴミなども回収する】
ニュースにもなったハーレーデイビッドソンや漁港のドックが丸ごと流れ着いたのも、同じ海岸沿いを南下したアメリカのオレゴン州近辺でした。
大陸と大陸の間が海でつながっているという地理感覚を、頭ではもちろん理解できていたけれど、カナダの広くて長い海岸沿いに立って、日本から流れてきた漂着物を手にした時に「海がつながっている」ということ事実以上の意味を初めて理解した気がしました。
海ゴミ清掃で大陸移動!
私が主に清掃活動を行ったエリアはバンクーバー島という大きな島の太平洋側に面しているトフィーノやユクルーレットという街で、沿岸沿いが州立公園に指定されています。何度も足を運び清掃活動を続けるうちに、州立公園で働くレンジャーの人たちや自治体の人、ローカルの保全活動をしている人たちと仲良くなり一緒に活動するようになりました。
このエリアも昔、津波の大きな被害を受けたこともあることから、日本の東日本大震災の漂着物をきっかけに地元の人たちの災害意識をもっと高める目的で、当時パークレンジャーとして働いていたピートが漂着物を使った芸術作品の作成と展示もしたりしていました。
【写真:大学教授やNGOを引き連れた日本の環境省視察が入った時。置いてある木材は全て漂着して回収した日本の木造家屋の柱など。】
私たちの清掃活動は地元のニュースにも何度も取り上げられ、当時日本の環境省が震災起因漂着物回収義援金として割り当てられた資金の一部で活動がスポンサーされるようにもなりました。この時の義援金はアメリカ・カナダを合わせた5つの州(アラスカ州、ブリティッシュコロンビア州、ワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州)に日本円で約1億円ずつ支払われたと聞いています。
日本の環境省の人たちが、私たちが清掃していたビーチへ視察に来たこともあり、その時はなぜか通訳として同行することになったのですが(笑)、そこで環境省の引率で一緒に来ていたJEANというNGO団体の方達と出会い、私と私の友人は日本に戻りそこで一時的に働くことに。JEANは毎年違う場所で海ごみサミットを開催していて、そこでは国内外で同じような海洋保全活動をする団体や政府関連のスピーカーを呼び、状況アップデートや意見交換をしていました。
皆さんももしかしたら聞いたことがあるかもしない団体「Surfrider Foundation」「Kokua Foudation」「Sustainable Coastline Hawaii」「5GYRES」なども参加していました。
【写真:世界で最も汚れたビーチの一つと言われているハワイ島最西端にあるカミロポイント。ここまで辿り着くのに巨大トラックで3時間くらい溶岩の上を揺られて行かなくてはいけない。カミロポイントは地理的に太平洋ゴミベルトの最終漂着地点なため、太平洋沿いの世界各国のゴミが漂着していて、日本の対馬のように全て回収しても翌日にはまた同じ量のゴミが漂着しているという状況。】
そのつながりで、私は五島列島の福江島で開催されたサミットに参加し、そこで出会った人たちとのつながりで、そのままホノルルで行われたサミットに参加し、1年後には同じ仲間たちとハワイ島のヒロでサミットを開催。そのまた約1年後には伊勢志摩で開催されたJEANのサミットで再会。東日本大震災で大きな被害を受けた場所の一つである名取を訪問し記念樹を植えるなど、「海ゴミ」という共通点で世界中の仲間と出会い一緒に活動できる機会を得られたのです。
綺麗になるのはビーチだけではなく自分の心
私は神奈川県の海沿いの街で生まれ育ったので、海という存在は常に当たり前に近くにありました。泳ぎが得意なわけでもないし、サーフィンが上手なわけでもないけれど、なんとなく海岸にいって何かを拾ったり、見つけたり。そんなふうに過ごしてきたからこそ、当たり前にある存在がゴミだらけだということに気づいたのが遅すぎるくらいでした。
そして、地球のいろんな海岸に落ちているゴミの量を目の当たりにしてきたからこそ、ビーチクリーンというアクションは深い傷を一時的にバンドエイドで抑えるくらいの効果しかないことも分かります。
「どうせ自分1人がペットボトル数本拾ったところで何が変わるだろう。」あまりにもゴミで溢れた海岸を目の前にそう感じて絶望的になっても無理はありません。私自身そう感じたことが何度もあるし、拾っていると他からそう言われることもたくさんありました。
【写真:ヒロの海ごみサミット後、地元の環境団体Hawai'i Wildlife Fund と一緒に行ったカミロポイントでの清掃活動。私はど〜こだ?!】
でも私が活動を続ける中で出会った仲間たちはみんなエネルギーと行動力に満ち溢れていて、「変わらないかもしれない」という憶測よりも「今できることをただひたすら全力でやりながら、未来のことを考える」を実践している人たちでした。彼らと一緒にいると、ネガティブ思考になっている暇もないくらい常にGo!Go!Go!だったんです。
どうしてみんなこんなにポジティブなのかな〜、と思っていたのですが、ビーチクリーンというアクション自体が人間の脳にポジティブな影響があることを私はのちにどこかの記事で読んで、「なるほど!」と思ったのです。
環境心理学に「バイオフォリア効果」と呼ばれるものがあり、これは自然の中に身を置くだけでその人の体が回復されるというもので、実際に自然に触れることで心拍数や血圧が下がりリラックスできることがわかっています。アーシングも同じことですね。
ビーチクリーンでは波の音や風の感覚も相まって、この効果がさらに高くなると言われていて、人が幸福を感じる時に出るホルモンのセロトニンやドーパミン、オキシトシンなどの分泌が増え、逆にストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールの数値が下がることも研究によりわかっています。
外でたくさん太陽を浴びたり、海岸で遊んだ日、体は疲れているけど心は満たされているあの感覚。これは科学的にも医学的にも証明されているものなんです。
海洋環境に常に敬意を
【写真:宮城県名取。津波で全てが流されてしまった地に植林をしに、サミットを通して出会った世界中の仲間たちと一緒に。ここに写っているのはそれぞれ、バンクーバー島、日本、オレゴン、イギリス、ハワイ島から。】
こんなふうに、海は意図せずとも私たちに常に素晴らしいものを与え続けてくれます。健全な漁業が成り立ち、食卓に並ぶことも当たり前ではありません。大気や気温の安定も、海洋環境が乱れることで全て乱れていきます。今私たちはまさに、この乱れ渦中を生きているのです。海水温が上がることで、地球にどれだけの変化が起きるかは今日ここでは話しきれませんが、私たちの生活なんてあっという間に奪われてしまうくらい地球環境はすぐに乱れていきます。
海からたくさんの恵みを受けているのに、私たちは一向に恩返しができないでいる。この場に及んでもまだ開発や過剰漁業をやめられないでいる。家のキッチンシンクからは汚れを思う存分に流し、強力な洗剤で綺麗になったつもりでいる。家は綺麗になっても、「きれい」を手に入れるために汚した水は、いろんな資源を犠牲にしながら洗浄されていずれ海へ流れ出る。その代償を背負うのは「当たり前」を重んじることができなかった私たちの生活です。もっと言えば、子供たちの世代の生活です。
これを知ってしまったら、海洋環境の大切さと、保全する必要性・緊急性の高さと、常にリスペクトの気持ちを持って生活をすること、できないはずはないです!皆さんも、「今できることをただひたすら全力でやりながら、未来のことを考える」を実践してください。
minimal living tokyo.のオンラインストアでは、ワールドオーシャンデイを記念して、海洋保全にちなんだ新しい製品の販売を開始しています。
コレクションはここからチェックできます!